【沖縄戦と国家安全保障の目的について】
沖縄では、6月23日は慰霊の日と呼ばれています。1945年6月23日に沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなんで、沖縄県が定めた日です。
先の大戦において、日本国内唯一の地上戦が行なわれたのが、沖縄戦(1945年3月-6月)でした。日本の沖縄守備隊は、満州や本土からの応援部隊で増強され、沖縄市民のみなさんは、前線から離れた避難地域への移動を命じられました。
3月26日に沖縄本島西側に位置する慶良間諸島に上陸したアメリカ軍は、4月1日、沖縄本島の読谷村海岸に上陸、日本の守備隊を南北に分断しながら、前進を続けました。アメリカ軍の圧倒的な火力の前に、沖縄守備隊の降伏は時間の問題と思われました。

ところが、日本軍の沖縄現地司令部は、本土決戦に向けた時間稼ぎの持久戦を行なうことを決定、守備隊司令官の牛島将軍は、日本軍をじりじり後退させ、なんと民間人のみなさんが避難している地域に日本軍を移動させました。その結果、まさに避難地域そのものが戦場となり、避難民のみなさんが砲火にさらされることとなりました。


沖縄戦での日本側の死亡・行方不明者18万8千人のうち、実に半数の9万4千人が民間人でした。
この日本軍の行動と対照的だったのが、1942年に、シンガポールの守備に当たっていたイギリス軍の行動でした。当時、日本軍の圧倒的な戦力により包囲されていたシンガポールでは、守備隊の司令官パーシバル将軍が、これ以上抵抗を続けると、シンガポール市内での市街戦が行なわれることとなり、多くの一般市民のみなさんが犠牲になると判断、日本軍への早期の降伏を決断しました。


当時も今も、日本では、パーシバル将軍は、大した抵抗もせず降伏した腰抜け将軍との評価が一般的ですが、市民のみなさんの命を守るという最も大切な目的を達成したという意味で、パーシバル将軍は、まさにPROFESSIONAL SOLDIERの名に値すると思います。
このふたつの事例の対比は、国家安全保障とは何なのか、そして、国家安全保障の目的は何かということを考えさせる貴重な教訓を与えてくれると思います。
国家安全保障の目的は、平和を維持し、国民の生命・権利・自由を守ることです。
民主的な文民統制(CIVILIAN CONTROL OVER THE MILITARY)の制度を整備し、先の大戦の愚行を二度と繰り返さない「仕組み」を確立すること、それが本当の意味の総括であり、戦争で亡くなったみなさんの慰霊となると思います。
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
沖縄では、6月23日は慰霊の日と呼ばれています。1945年6月23日に沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなんで、沖縄県が定めた日です。
先の大戦において、日本国内唯一の地上戦が行なわれたのが、沖縄戦(1945年3月-6月)でした。日本の沖縄守備隊は、満州や本土からの応援部隊で増強され、沖縄市民のみなさんは、前線から離れた避難地域への移動を命じられました。
3月26日に沖縄本島西側に位置する慶良間諸島に上陸したアメリカ軍は、4月1日、沖縄本島の読谷村海岸に上陸、日本の守備隊を南北に分断しながら、前進を続けました。アメリカ軍の圧倒的な火力の前に、沖縄守備隊の降伏は時間の問題と思われました。

ところが、日本軍の沖縄現地司令部は、本土決戦に向けた時間稼ぎの持久戦を行なうことを決定、守備隊司令官の牛島将軍は、日本軍をじりじり後退させ、なんと民間人のみなさんが避難している地域に日本軍を移動させました。その結果、まさに避難地域そのものが戦場となり、避難民のみなさんが砲火にさらされることとなりました。


沖縄戦での日本側の死亡・行方不明者18万8千人のうち、実に半数の9万4千人が民間人でした。
この日本軍の行動と対照的だったのが、1942年に、シンガポールの守備に当たっていたイギリス軍の行動でした。当時、日本軍の圧倒的な戦力により包囲されていたシンガポールでは、守備隊の司令官パーシバル将軍が、これ以上抵抗を続けると、シンガポール市内での市街戦が行なわれることとなり、多くの一般市民のみなさんが犠牲になると判断、日本軍への早期の降伏を決断しました。


当時も今も、日本では、パーシバル将軍は、大した抵抗もせず降伏した腰抜け将軍との評価が一般的ですが、市民のみなさんの命を守るという最も大切な目的を達成したという意味で、パーシバル将軍は、まさにPROFESSIONAL SOLDIERの名に値すると思います。
このふたつの事例の対比は、国家安全保障とは何なのか、そして、国家安全保障の目的は何かということを考えさせる貴重な教訓を与えてくれると思います。
国家安全保障の目的は、平和を維持し、国民の生命・権利・自由を守ることです。
民主的な文民統制(CIVILIAN CONTROL OVER THE MILITARY)の制度を整備し、先の大戦の愚行を二度と繰り返さない「仕組み」を確立すること、それが本当の意味の総括であり、戦争で亡くなったみなさんの慰霊となると思います。
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。