【民進党岡田前代表ブログへのコメント: 日露首脳会談における安倍政権の大失態について】

民進党岡田克也前代表の12月18日付ブログ記事に、下記コメントを投稿したところ、掲載されましたので、ご紹介させて下さい。ちなみに、岡田克也事務所の秘書の方のお話によると、岡田前代表は、必ずブログに掲載されたコメントを読んでいらっしゃるそうです。

岡田前代表ブログの2016年12月18日付記事「日露会談─実質的前進は見られず、従来の政府方針は守られているのか」は、こちらでご参照いただけます。

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BUSINESS LIBERALISMこと 松崎宣明
2017年1月3日 9:21 AM
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。

岡田前代表がおっしゃられているように、今回の日露会談では、4島についての言及は全くなく、逆に4島の帰属が明確にならないまま、平和条約の締結になってしまうおそれも生じ、かえって2001年の森・プーチン会談当時より日本の立場は大きく後退してしまったというのが実態であると思います。

その背景として、安倍政権が、ロシアと日本のおかれた客観的状況を無視し、外交でポイントを稼いで1月の総選挙に打って出ようという自分たちの都合だけで、外交交渉を進めたということがあると思います。

現在のロシアは、2014年のクリミア併合とその後の経済制裁当時に比べ、経済的にも外交的にも苦境にありません。むしろ、原油先高感から経済的に余裕が生まれ始めています。また、シリアにおいて、ロシア・トルコ・イラン主導で停戦が成立し、ロシアは、外交的にアメリカから主導権を奪いつつあります。

もしロシアが困っている状況にあれば、日本がロシア極東地域の経済的開発を梃子(てこ)にして、領土問題で有利な条件を得ることも可能だったでしょう。しかしながら、ロシアが苦境にない状況で、日本の与党政権が、1月総選挙を有利に進めるためという勝手な都合で焦って交渉を行っても、全く相手にされないのは当然の結果です。むしろロシアに足元を見られて、これまで得ていたものさえ失う結果となります。

そもそも、プーチン大統領は、会談直前のインタビューで、ロシアにとって中国は特別な戦略的パートナーであり、最も重要なパートナーであると明言していました。というのも、クリミア併合とその後の経済制裁でロシアが最も苦境にあったとき、中国はロシアと天然ガス購入の大型契約を結び、ロシアを経済的に助けたからです。もし今回の日露会談でロシアが領土問題で譲歩したら、1月総選挙で安倍政権を有利にし、中国に敵対的な安倍政権をアシストすることになってしまいます。プーチン大統領がそんなことをする訳がありません。ロシアは、あらかじめ日本側に期待させるようなメッセージを送りつつ、最終的に何も与えないことで、安倍政権に揺さぶりをかけたというのが実情だと思います。

今回の日露会談は、安倍首相および世耕経産相を中心とする、幼稚な官邸主導外交の大失態です。また、的確な助言を与えられなかった外務省幹部の責任でもあります。

日露会談直後に、安倍首相はテレビ局をはしごして、失敗の言い訳を行い続けました。本当に見苦しいです。野党およびメディアは、与党政権の失敗をもっと厳しく糾弾すべきであると思います。