【軍事による抑止力が効かないことについて】
安倍政権は、安保法案に関する国会審議において、軍事による抑止力を強調しています。
しかしながら、安倍政権が安保法案を本格的に進める動きを受けて、逆に、中国は、きわめて短期間で南シナ海における人工島の建設を完了してしまいました。抑止力は全く効きませんでした。[1]
また、3年前、日本が棚上げ論を放棄し、尖閣諸島国有化を断行した結果、中国は、これに対抗して、東シナ海に防空識別圏を設定しました。
今後、日本がアメリカ、フィリピンと協力して、南シナ海における航空機による哨戒活動(パトロール活動)を開始すれば、中国は、今度は、人工島をベースに南シナ海に防空識別圏を設定するでしょう。抑止力は効きません。[2]
さらに、日本が南シナ海に自衛艦を派遣すれば、中国は、弾道ミサイルおよび巡航ミサイルの実弾演習を南シナ海で行うでしょう。人工衛星(衛星測位システム)と連係した弾道ミサイル・巡航ミサイルが中国本土から南シナ海に撃ち込まれ、いつでも自衛艦を正確に攻撃出来るということが、示されるでしょう。[3][4]
一方、アメリカは、今年5月、東アジアに配備されている、唯一の空母ジョージ・ワシントンを引き上げました。大規模整備が理由です。次の空母は、今秋まで配備されません。[5]
アメリカは、中国が人工島の建設を進める過程で、結局、空母打撃群を南シナ海に展開することはありませんでした。彼らは、中国の弾道ミサイル・巡航ミサイルの威力を知っているからです。
もし今後も日本が中国に軍事力で対抗する動きを続ければ、中国は沿岸部における弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備をさらに増強するでしょう。すでに中国の弾道ミサイル・巡航ミサイルは、日本本土全域をカバーしています。
時代遅れの抑止力論は効きません。かえって、相手側のより強硬な反応を引き出すだけです。
軍事力ではなく、外交を通じて、アジアの平和を維持すべきです。
参照資料:
(1) "China says about to finish some land reclamation in South China Sea", June 16th 2015, Reuters
(2) "Images show Chinese airstrip on man-made Spratly island nearly finished", July 2nd 2015, Reuters
(3) "Should America Fear China's "Carrier-Killer" Missile?" by Robert Farley, September 22nd 2014, The National Interest
(4) "China’s Cruise Missiles: Flying Fast Under the Public’s Radar" by Dennis GormleyAndrew S. EricksonJingdong Yuan, May 12th 2014, The National Interest
(5) "Carrier George Washington Leaves Japan for the Last Time as Forward Deployed CVN", May 19th 2015, CNN
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
安倍政権は、安保法案に関する国会審議において、軍事による抑止力を強調しています。
しかしながら、安倍政権が安保法案を本格的に進める動きを受けて、逆に、中国は、きわめて短期間で南シナ海における人工島の建設を完了してしまいました。抑止力は全く効きませんでした。[1]
また、3年前、日本が棚上げ論を放棄し、尖閣諸島国有化を断行した結果、中国は、これに対抗して、東シナ海に防空識別圏を設定しました。
今後、日本がアメリカ、フィリピンと協力して、南シナ海における航空機による哨戒活動(パトロール活動)を開始すれば、中国は、今度は、人工島をベースに南シナ海に防空識別圏を設定するでしょう。抑止力は効きません。[2]
さらに、日本が南シナ海に自衛艦を派遣すれば、中国は、弾道ミサイルおよび巡航ミサイルの実弾演習を南シナ海で行うでしょう。人工衛星(衛星測位システム)と連係した弾道ミサイル・巡航ミサイルが中国本土から南シナ海に撃ち込まれ、いつでも自衛艦を正確に攻撃出来るということが、示されるでしょう。[3][4]
一方、アメリカは、今年5月、東アジアに配備されている、唯一の空母ジョージ・ワシントンを引き上げました。大規模整備が理由です。次の空母は、今秋まで配備されません。[5]
アメリカは、中国が人工島の建設を進める過程で、結局、空母打撃群を南シナ海に展開することはありませんでした。彼らは、中国の弾道ミサイル・巡航ミサイルの威力を知っているからです。
もし今後も日本が中国に軍事力で対抗する動きを続ければ、中国は沿岸部における弾道ミサイル・巡航ミサイルの配備をさらに増強するでしょう。すでに中国の弾道ミサイル・巡航ミサイルは、日本本土全域をカバーしています。
時代遅れの抑止力論は効きません。かえって、相手側のより強硬な反応を引き出すだけです。
軍事力ではなく、外交を通じて、アジアの平和を維持すべきです。
参照資料:
(1) "China says about to finish some land reclamation in South China Sea", June 16th 2015, Reuters
(2) "Images show Chinese airstrip on man-made Spratly island nearly finished", July 2nd 2015, Reuters
(3) "Should America Fear China's "Carrier-Killer" Missile?" by Robert Farley, September 22nd 2014, The National Interest
(4) "China’s Cruise Missiles: Flying Fast Under the Public’s Radar" by Dennis GormleyAndrew S. EricksonJingdong Yuan, May 12th 2014, The National Interest
(5) "Carrier George Washington Leaves Japan for the Last Time as Forward Deployed CVN", May 19th 2015, CNN
註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。