【国民の利益を大きく損なう安保法制について】

安倍内閣は、14日、集団的自衛権を容認する安保法制を閣議決定し、今国会で成立させるとしました。

安保法制が成立した場合、日本は、アメリカ、あるいは、それ以外の国(オーストラリア、韓国、フィリピンなど)が第三国から攻撃を受けた場合、攻撃を受けた国といっしょに反撃することが出来るようになります。

安保法制が定める集団的自衛権行使の要件は、きわめて曖昧であり、首相および内閣の裁量により、いかようにも拡大解釈が可能です。たとえば、南シナ海における紛争は、日本のシーレーンを脅かし、したがって、日本の存立が脅かされる、と解釈することも可能です。

日本の海上自衛隊は、12日、南シナ海で、フィリピン海軍と初の合同軍事演習を行ないました。[1][2]

安保法制が成立すれば、南シナ海において、中国とフィリピンの軍事衝突が発生した場合、安倍政権は、日本のシーレーンを守るためと称して、集団的自衛権を発動し、中国に対して武力行使を行なうでしょう。

《この場合、アメリカは介入せず、中国と日本との間だけで武力紛争が発生します。》

それは、日本の国益を大きく損ないます。日本の株と国債は暴落し、アメリカおよびEUは、日中対立から、大きな利益を得るでしょう。

アメリカとフィリピンの間には相互防衛条約があります。しかしながら、南シナ海における中国との紛争の際のアメリカの介入を求めるフィリピンに対し、アメリカは確約を示していません。[3]

「フィリピンは、相互防衛条約が締結された1951年には、南シナ海の環礁や岩礁の領有権を主張していなかった。そのため、相互防衛条約は、南シナ海の紛争には適用されない。」と主張する安全保障の専門家もいます。[4]

安倍政権が進めている憲法違反の安全保障政策は、特定利益だけを利し、日本国民の利益を損ないます。アジアの平和も損ないます。

野党は、安倍内閣を倒すため、内閣不信任案を提出し、国会の外で、国民の先頭に立って、倒閣運動を開始すべきです。

そして、国民のために、新しい内閣を樹立し、憲法遵守の下、本当の安全保障政策を始める必要があります。

日本における政権交代ののち、憲法に反する、集団的自衛権に関する閣議決定、安保法制、ガイドラインは、全て廃棄される必要があります。

また、憲法に反する、集団的自衛権および安保法制の推進に携わった官僚は、全て更迭される必要があります。

軍事よりも外交・経済が優先されるべきです。軍拡競争ではなく、軍縮が提案されるべきです。

国民は、それぞれの立場で、安倍内閣を倒すために出来ることを、直ちに始めるべきです。


参考資料:
(1) "China warns Philippine military planes away from disputed sea area", May 7th 2015, AsiaOne

(2) "Japan, Philippines Hold First South China Sea Naval Exercises", May 13th 2015, The Diplomat

(3) Armed Clash in the South China Sea, April 2012, Council on Foreign Relations Press

(4) "Will New Defense Pact Impact US Support for Philippines in Sea Disputes?", May 2nd 2014, Voice of America


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。