みなさま、こんにちは
アルファサポート行政書士事務所の佐久間です。
今日は外国人のかたやその周りにいらっしゃる日本人の方に関心が高い強制送還について、多くの方が抱きがちないくつかの誤解について解説してみたいと思います。
■ 永住者も強制送還の対象であり、永住権を失います。
永住者は国籍こそ「日本」ではないが日本人のようなもので、たとえ犯罪をおかしても大丈夫なんだと誤解されているかたが時々いらっしゃいます。
たしかに退去強制事由のいくつかは、永住者には成立しえません。
たとえば不法残留(オーバーステイ)は無期限の滞在が許されている永住者にはそもそも成立しえませんし、
資格外活動も、就労に制限が設けられていない永住者には成立する余地がありません。
ところが、永住者が他の外国人の不法就労を手助けすれば不法就労助長罪が成立して強制送還されますし、何かの犯罪をおかして1年超の懲役または禁錮刑に処せられた場合も強制送還になります。
不法就労助長は不法就労する外国人を雇った人や不法就労の仕事をあっせんした人に成立する犯罪であり、雇用主の多くは日本人ですが、もちろん外国人がご自分のビジネスで外国人を雇う場合も含まれます。そして永住者が雇用主であることももちろんあるわけです。
また、永住者が不法就労の仕事を同郷の外国人にあっせんしても、この犯罪は成立します。
永住者であっても退去強制事由に該当すれば強制送還となり、
強制送還されれば在留資格「永住者」を失いますので気を付けましょう。
退去強制事由は沢山ありますので、気になるかたはリンク先の別記事で確認してみてください。
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・強制送還について
・不法就労助長罪について
・資格外活動許可について
■ 93%のかたが自費で出国しています。
強制送還という言葉の語感から、多くの方は「無理やり飛行機に乗せて、日本の国費で本国に送り返す」というイメージをお持ちのようです。
もちろんそのようなこともありますが(実際にそれによる不幸な事故も起きています。)、実際には93%の被送還者が自費で、かつ、みずからの意思で飛行機に乗り込んで出国されています。
自費出国するときには、入管法の条文上、ご本人が入管に申請をし、これを入管側が許可することにより行われることとされています。
自費ではなく、国が費用を負担する国費送還の方法で強制送還されるかたは、全体の5.4%であり、割合としては多くありません。
リンク先の記事では、外国人を運んできた航空会社が送還の費用負担をするケースを含め、よりくわしく解説しています。
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・強制送還の費用について
■ 不法就労者は農業従事者が多いです。
みなさんは、日本で不法就労の外国籍のかたが最も多く働く産業は、建設業、工業、農業の3つのうちどれだと思われますか?
わたしがこの仕事に就く前の勝手なイメージでは、建設業が一番多いのではと思っていました。
また不法就労者は立場が弱いので、工場で不当に安い工賃で働かされているというイメージをお持ちのかたも多いかもしれません。
しかし意外なことに、日本で最も不法就労による被退去強制者が多い産業は、出入国在留管理庁の統計によると、実は「農業」なんです。
不法就労をさせた雇用主にも不法就労助長罪という犯罪が成立しますが、農家さんってなにか善良なイメージがありますよね。
悪代官に厳しく年貢を取り立てられてもひたすら耐える善良で実直なお百姓さんという勧善懲悪のステレオタイプな時代劇のイメージがあるからでしょうか。
しかし、統計上はもう何年もの間、不法就労者が最も従事している産業は農業であり、つづいて建設業、その次が工業となっています。
実直で清貧な農家さんというイメージは、実際にそういうかたが大多数であることは確かだと思いますが、現実の世界では必ずしもそうではないケースもあるようです。
ではまた
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