永住権の要件~ETV特集「アイ アム ア ライブラリアン~多国籍タウン・大久保~」雑感 | アルファサポート行政書士事務所代表SAKUMAのブログ

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みなさま、こんにちは!!
行政書士の佐久間です。

先日、外国人が多く住んでいる街・大久保の図書館に勤務する職員さんの奮闘を描いたEテレの番組、「アイ アム ア ライブラリアン」をみました。



 

様々な国籍の方を結びつけるため、母国の本を紹介するイベントを企画したり、外国籍の子どものためにネパール語やタミル語の絵本を調達すべく奔走する図書館員さんを追ったドキュメンタリーで、市井の人の取り組みを紹介する番組でありながら「情熱大陸」や「プロフェッショナル」と同じくらい感銘を受けました。

この番組のなかで唯一違和感が残ったのが、まだ小さなお子様が2人いるネパール人のご一家のエピソードでした。

過去に2回、行政書士に依頼して日本の永住権を申請したがいずれも不許可になったとのこと。

税金もきちんと払って一生懸命真面目に生活しているのになぜ?と結果に納得がいかれていないご様子で、永住権がとれなかったことが原因で帰国を考えているとのことでした。

非常に胸が痛みます。

私が違和感を覚えたのは、このご一家が永住権の不許可理由をよく把握されていない点でした。

私の目からみると、おそらく一家の大黒柱であるお父さんの年収が300万円に足りていないのだろうと思いましたが、年収について番組で言及がありませんでした。

300万円というのは明文化された基準ではなく公表もされていませんが、真剣に仕事に取り組んでいるビザ専門の行政書士の間では当たり前のように共有されている経験則です。

世帯の扶養人数が増えるに従い、300万円の要件も当然のことながら加重されます。

裁判における量刑相場のようなものと言っても良いかもしれません。

その300万円という一応の目標をきちんとクライアントに伝えてあげないと、どこへ向かって努力すれば良いのか依頼者はわからないわけです。

年収300万円に届かないのなら、2回申請しようが、3回申請をしようが不許可になっても不思議ではありません。

300万円をクリアしてから再申請することをアドバイスしてあげないと、帰国を検討している今回のケースのように依頼者の人生を狂わせてしまうことになります。


素晴らしい番組だったのですが、その点がどうも腑に落ちないエピソードでした。

ではまたビックリマーク

★★★ 番組のご紹介 ★★★★★★★★★★★★★★★★★

チャンネル [Eテレ]
2017年10月19日(木) 午前0:00~午前1:00 [水曜深夜](60分)

〇番組内容〇
住民の4割以上が外国人という新宿・大久保。20か国近い言語の本をそろえ、本で外国人と交流するイベントを開くなど、
活動を続けてきた図書館長の取り組みを追う。

〇出演者ほか〇 【語り】上白石萌音

〇詳細〇

130以上の国々からやってきた人々が暮らす東京・新宿区。中でも大久保周辺では、ここ数年でネパール・ベトナム系の人々が急増し、
街は大きく様変わりしている。区立・大久保図書館では、館長の米田雅朗さんが中心となって20か国近い言語の本をそろえ、
お気に入りの本を紹介し合うイベントを開催するなどしてきた。
街の人々を本でつなげ、心の交流が生まれるようにと活動する米田さんと、図書館に集う人々との交流を描く。