六百年たった今も、一人の男が創った作品がそのままで演じられている。信じられない現実である。
人間の持つ様々な煩悩を、描いた情念はいまだ光を放し続けている。日本人の心が、能楽の中に精緻に描かれているからと思える。
過日、観た能面にかがり火の炎が揺れる薪能の舞台は、幻想的な世界を創り出し、理屈なく体が震えた。
世界にない日本独自の古典芸能文化を創造した求道一筋の思惟深い「世阿弥」は、日本が世界に誇れる偉大な人物だ。
世阿弥の表現する薪能の舞台の季節になったが、現在の数値絶対主義を求める経営者達に、世阿弥の世界に一度触れてみて欲しい!