第60回 ニューブリード
激動の2002年も残すところ一ヶ月、
経済界は相変わらずデフレから出口の見えない一年となった。
例年この季節に、芸大祭や上野美術館で開かれる日展に足を運んでいる。
日本中から集った若き芸術家の卵達のおりなす芸大祭は、毎年新鮮な発見と感動を与えてくれる。
特に今年の芸祭は、感動の出会いがあった。
これまで見たことの無い画風と遠近感溢れる完成前の風景画に、心惹かれ、作者と会ってみた。
29歳の目元涼しい青年芸術家は、「ボーボリ庭園」をモチーフにしたという作品への思いを、力強く説明してくれた。
話を聞きながら、春先の穏やかな季節に、「庭園」を散歩しているシーンを感じ、未完の作品であるにも関わらず、仕上がった画面が見える気がした。
この作品を身近な人達に見て欲しい衝動に駆られ、本人にそれを伝えると快く譲ってくれ、今では会社に飾ってある。
来社した人達は、一様にこの作品に近づき「絵だ!!」と驚いている。
この感動が媒体となって、話が弾み元気な会話を創造してくれている。
ここ数年、社会人の日展作品は、残念ながらインパクトのある個性溢れる作品と出会うことが少なくなって来た様に感じる。
年末になると経済誌を始め、各新聞社はきまって、今年の勝ち組み、負け組みの特集を組む。
今年の勝ち組みの多くは、ベンチャー企業が大半であり、オールドエコノミー企業郡は、一部を除き負け組みになっている。
偶然の一致かどうか解からないが、芸術の世界も経済の世界も新たなことに果敢にチャレンジするニューブリード(新しい世代)が、元気だ。
カオスとデフレの延長の2003年に向け、一旦のオールクリアボタンを押し、新たなブリード目線で「思いをかたちに、デザイン」してゆきたい。