第72回 「経営者像」
経営者には、創業オーナー経営者とサラリーマン経営者がいる。
創業オーナー経営者は、株式の多くを所有し、主要な意思決定を行なう。
一方、サラリーマン経営者は、資本と経営の分離により、自社株のシェアは所有せず、経営の意思決定を行なう専門経営者である。
創業経営者は、創業時から、何から何まですべて自分でやらざるを得ないので、結果的に会社の全機能に精通する。
サラリーマン経営者は、一部門の専門化された道を歩み、出世に価値をおいた調整型社長になるので、経営全般を知る機会が少ない。
創業者の姿を踏襲したクローン型経営スタイルになりがちである。
経営者のミッションは、最終の意思決定にあるが、担当役員任せで全体の経営バランスが崩れ、不幸を招いてしまうケースが、多い。
経営者が変わるということは、環境変化に対し、常に変化、進化しつづけるために交代することに意味や価値があるという認識が、足りないのかもしれない。
創業オーナー経営者の多くは、個人のお金によって会社を立ち上げ、その後、個人保証を銀行に求められ、個人と会社が一体となり、会社の痛みも喜びもすべて自己のものとなる。
創業経営者達は、会社の現状の痛みや危機意識を誰よりも持ち、「不確実な明日に向かって今、何をなすべきか」を考え、自らの全存在を賭けた決断をする。
これが戦略的意思決定の本質となる。「戦略的」とは、与えられた問題に対して解決を図る「戦術的」アプローチではなく、自ら問題を創り出し立ち向かうことに、その本質がある。
今から、45年前、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」と、リクルートの創業者は社員に語りかけた。
今日、多くの企業家精神を持った人達が、自ら変化を求め、新たな可能性に果敢に挑戦し、「会社とは、創るもの、創り上げていくものだと、語る。
カルロス・ゴーン氏は、専門経営者の域を出た創業経営者シップを持つ素晴らしい実績を上げ、実業家となった。
ゴーン氏は、コアバリューを明らかにし、明解なビィジョンを描きシンプルな目標を設定し、解かり易い自分の意志をもった言葉で説明する。
常に競争相手よりも早く、新しい環境に組織を適応させ、前進させていく変革者である。
変革するには、創業マインドをもって不退転の覚悟で、前進しなければならないことを、実践で示した。
変革の時代、出世を求め仕事を管理する調整型サラリーマン経営者でない、創業精神を持った創業型経営者が、これからの経営者の姿だ。