第137回「不況期に出会い結ばれた人と企業は、成長する」
私の就職活動時はオイルショックの頃で、大半の企業は採用を中止していた。
将来自分で何かをやりたいと漠然と思っていたが、採用予定がなくても商社をはじめ様々な企業を訪ねた。
大企業から中小を含め様々な規模の人事の方々と出会うことで、自分の適性と評価が見えてきた。
自分のことを何も知らない会社組織が自分の運命を変えてしまうことに、一抹の不安を感じ、自立しなければと、将来独立に役立ちそうだと専門商社に入社した。
新規取引先を開発する部署に配属され、短期間で数社の新たな取引先を開発した。
面白い奴だと思ったらしく新設立の子会社を通じ、百貨店に出向になった。
カメラやDPEやアルバムを販売する仕事だった。
エレベーターとエスカレータの間にある売り場で、朝から夜までお客様からトイレの場所を尋ねられることが多く、一日百人を超える方々から、「トイレは、何処ですか?」と聞かれた。
自分はいったい何をやってるのだろうと、滅入ったこともあったが、気持ちを変えて笑顔でトイレ案内をしていると、帰りにアルバムやフィルムも買っていただくお客様ができた。
そこで出会った人の縁で、東京ディズニーランドの立ち上げに関わる機会に恵まれ、リクルートに出会いリクルートで働くことになる。
私が入社する前の1977年のリクルートの決算は、初の減収減益だったが、採用意欲は高く社員は明るく元気な人が多かった。
歴史のある会社から、先行き不透明だが希望を持った小さな日本リクルートセンターという会社に転職する“常識外れの逆張り”の選択は大正解だった。
その後15年、リクルートの創業者、江副さん個性を持った人間集団の中で、経験した濃厚な時を過ごした。
現在のリクルートではきっと取得できないOSを得ることができた様に思う。
不況期に大手企業が採用を手控えた時、採用を積極的に行ったリクルートを始めとする企業に入社した人は、力強く成長を遂げ現在も輝いている。
好景気に、就職人気企業ランキング企業に入社し、幸運なスタートを切ったと思われた多くの人たちは、今、リストラの嵐の中で苦労している。
不況期に出会い結ばれた人と企業は、成長している。