第36回 予兆をとらえた大川功さん
日本を代表するベンチャー経営魂を持ったCSK創業者の大川功さんが、3月16日亡くなられた。
最初にお目にかかったのは16年前、人材採用の件でお会いして以来、多くのことを教えていただいた。
「事業には、必ず予兆が訪れる。その予兆を逃さずにとらえ、これを命がけで事業化する人に対して、天は時流という恩恵を与え、そして使命という責任を負わせる。」ということをモットーとしておられた。
いつもお会いするたびに、濁声で大阪弁混じりの迫力溢れる語りによって、持論の経営観や明快なビジョンを伝えて頂いた。
「信念を持って未来価値の創造に経営資源を投資し、夢を実現するのが経営だ。
僕の経営観は人生観であり、
事業は一代限り」
「運命は自分で切り開け、運のいい人についていけ」
「価値とは目に見えないもの、無形価値をもつことが大切だ」
「人がすべて。経営はそれに尽きる」
経営哲学、ものの考え方、人材感は、経験を通じての刻み込まれた語録は、大川さん声と共に残っています。
例年年明け、CSKグループの賀詞交換会がある。
大川さんの「未来のありか」のスピーチを楽しみにしていたが、今年は欠席された。
頂いた冊子の中で、「21世紀を迎え、あくなき挑戦をしてゆきたい。
どんな事があってもSEGAは、利益を出すまで徹底してやってゆく。
今年も挑戦だ。 と紙面を通じて語りかけておられた。
大川さんは、最後まで現役のベンチャー魂を持ち続けた挑戦者でした。
今から思えば、大川さんに最後にお会いした赤坂のオフィスで帰る際、ふかぶかと頭を下げ見送ってくれた姿が瞼の裏に残っている。
お別れの挨拶だったのかもしれない。