第21回 起業から、企業へ
今、起業の時代だ。
起業の手段の一つに、海外の成功モデルを輸入するあり方がある。
話題になっているベンチャーを、単純に日本へ持ってきても、簡単に成功しないケースが多い。
モノ作り中心の工業化社会では、欧米の成功ビジネスモデルを学び、そこに日本的なきめ細かさを付加することによって、十分キャッチアップでき、本国より良い事業を創り出すケースが多かった。
モノよりも知的価値が優先される知識社会に入ると、そういう手法で本国を超える事業を育てることはむずかしい。
国策として、様々な助成金をはじめ、エンジェル税制や、ベンチャーキャピタルにセーフティ・キャピタルとして投資促進策を打っている。
知的価値の高いベンチャー企業を育てる環境として、ベンチャーキャピタルが創業間もない小さな企業にリスクマネーを供給して、その企業が成功したら大きなリターンを得るというのは、ベンチャーキャピタルのほんの一面にすぎなかった。
「起業の環境」は、随分と極めて恵まれてきた。
ここ数年、日本ではインターネットの創業ブームが起こり、ネットバブルともいわれ億万長者を数多く生み出した。
起業から企業に育って欲しいが、ゴールは公開でない。
富士通社の社内ベンチャー制度から、生まれたアルファ・オメガソフトの社長の佐々木さんが、「事業構造を創らなければ成功でなく、評価されない。」と、目線が公開の延長にあった。