第3回  「新規事業サポーター」 | インキュベーションマザー 北條夏旭 『Mother's Note-マザーズノート-』

第3回  「新規事業サポーター」

 企業内新規事業は、新しい事を始めるというだけで、既に知識不足という障害に出会います。まして、カルチャーの違う世界(例えば、メーカーから小売、物販から飲食、箱物事業からソフト産業)への参入となると、それこそ、生半可な気持ちでは、事業もその人の人格も潰されてしまいます。ところが、会社を大きく変えるかもしれない「宝」を発掘する為の、検証業務にも関わらず、新規事業担当者に本来の業務と兼務させている企業が多く、その担当者は、個人の時間を費やして奮闘、努力をしている光景をよく見かけます。(最も、それ位の、気概がある方でなければ、新規事業の成功は遠い道のりに、なってしまいます。) 一番困るのは、やる気の担当者が、新しい考えや、仕組みを取り入れようとした時、社内の規制や、古い慣習に邪魔をされて、計画が遅滞してしまうというジレンマに陥る事です。組織に帰属している以上、組織の秩序や、ルールを重んじなければなりませんが、新規事業の根幹は、現状破壊からの始まりであり、見知らぬことへの挑戦です。その過程で、新しいルールや仕組み造りが必要になってきますが、失敗が無いとは言えません。失敗を恐れては何もできないという思いもありつつ、組織内で動く以上、失敗は避けなければならないという、通常業務以上の緊張感が溢れる使命という訳です。


 その状況を理解して、使命も一緒に背負っているのが、当社のインキュベーションマネージャーです。目的に向かって、いろいろな課題を解決する事に全身全霊をつくしながらも、あくまでも、バックアップに徹する仕事です。「口先だけのコンサルタントではなく、僕は現場を一緒にやりたい!」と言って参加した当社のインキュベーションマネージャーHさんは、戦略立案から、現場で起こっている細かい出来事のソリューションまで、汗を流し率先して動いています。最近の主な業務である製造業から小売事業への参入という新規事業のインキュベーションを、我が事として、真剣に取り組む彼の姿勢に、その企業のメンバーの意識が、「俺がやらなきゃ誰がやる!」といった姿に変革し、この事業の第1段階はクリアしたという確信が湧いています。店舗の開店時、喜びも苦しみも共にしたメンバー達が、明るい笑顔でお客様を迎えしている姿が、とても輝いて見えました。


 私たちのミッションは、新規事業を推進するリーダーが、事業成功する為に応援していくことです。一つの流れが出来るビジネスモデルを創るまでが、インキュベーションマネージャーの真髄ですから、事業運営組織が固まると、自分の出番は少なくなる寂しさもあると思います。しかし、彼には、新たな新規事業構築の依頼が待ち受けています。次の依頼は、テーマ設定からのスタートですから、また違った苦労と喜びに出会う事でしょう。私達のインキュベーション支援は、同じ解決策・手法にはなりません。インターウォーズのインキュベーションサービスは、その会社の目的、期間、予算によって解決策、支援策を提案して創るものだからです。但し、どこの企業も、新規事業に関する期待度や、緊張感は同じです。彼には、また、新しい企業と、時間と情熱を共有し、「俺がやる!」意識を事業担当者に浸透して、定めた目標に導いて欲しいと思います。




2010-03インターウォーズ株式会社
常務取締役
Incubation Mother
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