1984年7月、女王陛下お膝元のロンドンから勉強疲れで帰国した久しブリキ、いや途端、何とまたもや、即座に移動。
翌8月からは同じ女王陛下の「植民地」の香港への転勤となった。
1980年からインドネシア、英国の丸4年間単身赴任だったので家族は即帯同ということになり、２ヶ月後に合流。
(1984年：尖沙咀フェリー乗り場、後方が香港島）
香港では、一般的に香港島側を「香港サイド」、大陸側を「九龍サイド」と表現するのだが、住まいは、香港サイドのセントラル（中環）のミッドレベル（半山区）、仕事場は、九龍サイドの突端の尖沙咀(Tsim Sha Tsui)のペニンシュラホテルの新棟（九龍ホテル）の現場だった。
(1984年：尖沙咀Salisbury Road)）
（1984年：尖沙咀Nathan Road）
通勤は海底トンネルのバスや地下鉄もあったのだが、このスターフェリーで港を行き交う船の波に揺られ、朝の気分転換を兼ねて、敢えて時間(15分程度）のかかるものの、20セント？（3円）と安くて超長閑な通勤手段を選択したのは大正解だった。
以来、1992年に香港を離れた後も、出張や観光で再訪した時も敢えてこのスターフェリーに乗るのが楽しみだった。
(1984年：後方が尖沙咀）
ここで少し英国領香港（植民地）について：
「清朝との阿片戦争の結果、1842年の南京条約で香港島、そして第二次阿片戦争後、1860年の北京条約で九龍サイドの界限街（Boundary Street）から半島先端までは英国の永久割譲地となって、それ以北の九龍サイドと島嶼部は、1898年から99年の租借地だった。その期限が1997年、いわゆる香港返還だった。
その歴史的返還合意として、1984年12月サッチャー首相と趙紫陽との「中英共同声明」が署名された。
永久割譲地は返還しなくても良かったのだが、その時点では香港は永久割譲地と租借地は都市交通も含めて九龍半島と香港島
まさに、奇しくも私の香港赴任は歴史的瞬間と重なった訳だ。
住んでいた半山区の等高線に延びる散歩道（Bowen Road）からは香港島の中心部がよく見えた。
あの当時、建設費1,500億円とも言われた香港上海銀行本店はまだ建設中。設計は英国のSir Norman Foster（プリッカー賞建築家）だ。もちろん、”You Pay、 I'm PEI”と揶揄されたプリッカー賞建築家の巨匠Mr. I. M. Peiの設計による中銀大廈(Bank of China Tower)もまだ姿は見えない。（写真中央の空き地）
(1984年）
そして、香港といえばやはりこの風景！
今のような超超高層ビルはまだ無いし香港サイドの埋立地も少ない。
（1985年）
(1987年：オーシャン・ターミナル)
1985年から1990年まで担当したプロジェクトは、香港政庁発注のQuenn Mary Hospital（香港大学附属病院）だった。
この病院は、1955年に公開された映画「慕情」(Love Is a Many-Splendored Thing) でヒロイン（ジェニファー・ジョーンズ）の働く病院の舞台で、従軍記者（ウイリアム・ホールディン）との丘の上のシーンは有名。
(1990年：Quenn Mary Hospital新病棟)
この頃の香港の空港（啓徳機場）は九龍半島にあり、飛行機の進入はほぼ90度旋回するスリリングで世界一パイロット泣かせの空港として有名だった。
※下の写真は香港日本人学校の運動会（校庭が小さいので九龍の公営グラウンド等まで行って行っていた）
(1997年：九龍仔公園グラウンド）
そのための建物の高さ制限(15-6階程）があり、ビルの高さは綺麗にそろっているが、1998年に新空港が開港してからは高さ制限が解除され、今では香港サイドを凌ぐ超超高層ビルが林立している。
(1990年：尖沙咀ターミナル）
結局香港には、海外駐在で最長の8年間も駐在し、その後、米国へと、”海越えワンオン”の横横移動となった。
（おまけ）
香港でのスケッチから：
(1990年：Bowen Road)
（1997年：中環）
(2010年：香港島）
(2010年：Stanley）
（2010年：九龍公園）