10年前までの連続24年程の海外駐在時代、成田空港の売店等ではよくあの海鼠壁のデザインの「喜多方ラーメン」の確か5、6個入りの紙パックをよくお土産に買ったものだ。
このタイプは比較的保存が利くので海外で味わう懐かしい「日本製の日本の味」の一つになった。
でも、実はその「喜多方」が一体何処にあるのかもよく知らなかった。
その地が、芦ノ牧温泉(会津若松市)からさほど遠くない場所だということを確認したので、今回の会津旅行の第4の目的地ということなった。
初めての街の情報は、まずその中心駅(この場合JR喜多方駅)の案内所に行くのが最も手っ取り早くて正確だ。
車であってもまず駅に行く。
ということで、芦ノ牧温泉駅の猫駅長に「さよにゃら」して、会津若松市街経由右手に磐梯山を眺めながら約1時間半のドライブで、JR磐越西線「喜多方駅」に到着。
やはり駅は「海鼠壁」だ。
案内所でいただいた詳しい「喜多方観光ぶらりんマップ」と「喜多方老麺会ラーメンマップ」を頼りに「蔵の街」へ。
「老麺会」のラーメンマップには45店もの店が自慢のラーメンの写真付きで掲載されている。
こんなに種類があるとは悩ましい選択である。
だが、元来が表通りより脇道、裏道を好む人間である。
ついつい路地に吸い込まれて行って見つけた店が「老舗上海」だ。
どことなく美味そうな店構えである。
因に、ラーメンマップの説明では;
「器ひとつにも”こだわり”をもってます。喜多方ラーメンの老舗「上海」は、初代店主が中国上海でかかわりをもって以来、半世紀にわたって味づくりにこだわり続けてきました。そのこだわりぬいたラーメンの味と、女性スタッフの優しさを感じにご来店ください。」
(タレはとんこつ・野菜、掲載写真は「チャーシューメン」)
(営業は9:30から15:00まで、但しスープが無くなると閉店。木曜日閉店)
とある。
自分も「上海駐在6年」でもあることだし、迷いは無かった。
この店は、喜多方でも2番目に古い店で昭和23年創業とか。現在の3代目まで店主は女性。そういえば、ラーメン屋の風景であるオヤジさんのかけ声は無い。
メニューもさほど多くはない。
相方は、マップ掲載の定番「チャーシューメン」
私が注文したのは、「八重の桜」にちなんだと思われる「桜・塩ラーメン」
何と、「わさび」を付けていただくのだが、これが実に良い。
会津の「わびさび」か?
札幌、博多と並ぶ「日本三大ラーメン」の一つの「喜多方ラーメン」の風格とそのなかでも老舗としてのこだわりなのか、さすがに美味いラーメンであった。
次回は、是非他の店も挑戦してみたい。
腹ごしらえの後は、梅雨入り前の晴天の中を「蔵のまち」の散策。
駅の案内所で勧められた寺町にある「大和川酒造」は、寛政2年(1790年)創業。
酒造工場は郊外に移転して今この建物全体が「北方風土館」となっているが、平日なので人も少ない。
気に入ったアングルなので木陰の蔵の縁石に腰を下ろしてスケッチを。
テイスティングも出来るようだが、今回は車なのでお断りして太陽の眩しい通りに出る。
門の前のすぐ外の狭い石畳の路地に見つけたマンホールにも趣がある。
酒、味噌・醤油を営んだ面影が残る大きな屋敷の裏側。
煉瓦造の煙突の後方の一段高い建物が「蔵屋敷」。
漆喰に松の油煙などを混入した非常に高価な「黒漆喰」の蔵だ。岡山の「烏城」に倣って蔵屋敷「烏城」と呼ばれている。
大きな蔵造りの建物の一階が、総檜造りの広い上段、下段からなる二間(21畳と18畳)の絢爛豪華な座敷になっている。更には12畳の畳廊下があり総計51畳。
縁側の2寸厚の床板はケヤキの無垢の板。
縁側廊下の奥の引き戸の戸板がケヤキの一枚ものとは驚きだ。
庭から母屋と表通り黒漆喰の蔵(店舗)方向を望む。
甲斐本家から駐車場への帰りがけに見かけた電話局。