今回2012年の選挙から、
スーパーパック(Super PAC)と呼ばれる
政治行動委員会が生まれました。
今回の連邦パックのレポートによる個人献金(12月末の時点で)
スーパーがつく前のパック(PAC連邦パック)は、連邦や州レベルで「誰でもが政治的な行動を行うために作ることが許されている団体」です。
例えば、大統領候補を応援したいという場合に、本来の候補者への献金とは別に、その人を応援するPACがあれば、そこに献金しても良いというものです。
元々アメリカの選挙資金にはあまり規制はなく、個人献金がその主要部分でありました。最も富裕な、総人口の4%が、個人献金のほぼ100%をまかなっていたといました。しかし、企業や労働組合からの直接献金は州法で禁じられていましたし、個人の献金限度額は5000ドル(38万5千円)という規制がありました。
しかし、2012年、米国最高裁で「企業、組合、個人が、候補者とは独立にキャンぺーンを行うなら、政治献金の金額に全く制限がなくす」とういう裁決されました。
シチズンズ・ユナイテッド 対 連邦選挙委員会―FECの判例
米国最高裁の9人の判事は、大半の審理で、5人の保守派と4人のリベラル派に意見が分れる。
保守派
最高裁のマジョリテイ5人を占める保守派
「シチズンズ・ユナイテッドの決定は、憲法第1条の言論の自由という最も基本的な原理を擁護、立証するものである。政治的な言論を規制することはまったく最高裁のしごとではないから、選挙寄金の額を制限するのは間違っている。」
リベラル派
「企業の金がキャンペーンという政治市場に流入すること
は、民主主義の腐敗につながる。」
結果、5-4で保守派の意見が優勢になり、「個人だけでなく企業や組織による、上限のない政治献金」が可能になったのです。
それからというもの、政治行動委員会はただのパックではなくスーパーパックとなり、
条件として、
1.スーパーパックへの寄金は、候補者と独立して使われること
→スーパーパックはその金を彼等の支持する候補者と連携させてはならない、あくまでも候補者からは独立した外部団体として、候補者を支持するのこと。 なんと曖昧。。。
2.献金の寄贈者名と金額は定期的に、連邦選挙委員会に報告すること
それに加えて、2014年には、米連邦最高裁は、5対4の賛成多数で個人から連邦選挙に立候補する政治家への献金について上限を撤廃する判断を下しました
こうして、大統領選期間中は、個人から複数の政治家に献金できる総額の上限もなくなりました。
変化
2010年以前 連邦パックへの個人献金(上限があり)のみ
2012年 個人献金(上限があり)+スーパーパック(企業がバックする外部団体)
2014年 スーパーパック+上限のない連邦パックへの個人献金
候補者から独立した特別政治活動委員会(スーパーPAC)とは?
企業や労働組合は上記の伝統的な連邦パックに直接献金はできませんが、その特定の企業や組合関係のパックの管理コストを支払うことはできます。
・企業関係のパックは重役、株主および彼等の家族だけから献金を要請できます。
・組合は組合員以外からは献金を求められません。
ここでいったい誰がどの程度のスーパーパック献金をするのでしょうか。
2012年の大統領選挙では、
民主党オバマ候補に
1.マイクロソフト
2.カリフォルニア大学
3.DLA PIPER
4.グーグル社
5.SIDLEY AUSTIN LIP
6.ハーヴァード大学
共和党ロムニー候補に
1.ゴールドマン・サックス
2.JPモルガン
3.バンク・オブ・アメリカ
4.モーガンスタンリー
5.クレジット・スイス
6.カークランド&エリス
このように、トップ企業が何千万という献金をスーパーパックを通じて行います。
日本人の方は、お金を使うのは卑怯であり、人徳で人を引き寄せるべきであるというバイアスがあると思いますが。アメリカでは、「お金のために政治をする」のと、「お金を使って政治をする」のとをはっきりわけ、選挙期間中は、候補者が政治活動を行うための資金を集めることは、許されてきました。
また、スーパーパックの寄金は、他の候補を中傷したコマーシャルなどのネガティブキャンペーンに使われ、金の力をいやというほど発揮しています。
また、裕福な団体や個人が、キャンペーンをしている別の候補者の声をかき消してしまうことを許したともいえます。
このように、最高裁の判決によって‘言論の自由’が無制限献金の正当化に使われるようになり、金の問題は大統領選挙が進行されていく中で、候補者のイデオロギー同様に、重要なポイントとなります。