国際慣習法と法の一般原則を解説!! | 国際法と国際政治から読み解く現在

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今日は、一般法について解説したいと思います。

国際法において、慣習法を深く理解することはとても大切です。





VIDEOで簡単に解説 CHECK!

一般法は大きく慣習法と法の一般原則の二つがあります。

国際司法裁判所規定 38条(国際法の法源の規定)に規定されている
b. 法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習
c. 文明国が認めた法の一般原則 のことです。

単独行動や法の一般原則に依拠で着る場面は極めてすくないので、国際慣習法が重要になってきます。


第三十八条
1.裁判所は、付託される紛争を国際法に従って裁判することを任務とし、次のものを適用する。
a. 一般又は特別の国際条約で係争国が明らかに認めた規則を確立しているもの
b. 法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習
c. 文明国が認めた法の一般原則

d. 法則決定の補助手段としての裁判上の判決及び諸国の最も優秀な国際法学者の学説。但し、第五十九条の規定に従うことを条件とする。
  2.この規定は、当事者の合意があるときは、裁判所が衡平及び善に基いて裁判をする権限を害するものではない。



慣習国際法

国際慣習法は英語で、Customary international law or general international law。


事実上、関係する法が見当たらない場合に国際慣習法に依拠し、また、すべての法主体に適用される法といいます。

一般慣習以外に、地域内で形成される特別慣習法もあります。

check→インド領通行事件本案判決とヘゴ事件判決

慣習法の議論は19世紀-20世紀初頭からであり、国内慣習法理論の発展にともなって
それを借用しようという動きが出始めました。
国際慣習法を成立するためにジェニーが二要素理論というものを打ち出しています。
これは、ある事項について諸国の行動が積み重ねられることにより内容が固まった実行 practice とその実行が権利の行使または義務の履行であるという法的信念が国際慣習法成立に必要だというものです。
過去判例で具体例を挙げてみますと、「ある国の船舶の管轄権を他国が行使しない実行があるんだ」
という主張に対して、そのあとPCIJが「いやいやそのような実行の存在を説明するだけだと不十分だ」つまり「国家が義務意識つまり法的信念をもって、管轄権を行使しなかったことを証明する必要がある」と判断しました。

チェック→ロチュス号事件判決
     北海大陸棚事件判決
     対ニカラグア事件判決軍事活動事件本案判決

仲裁裁判や国内裁判所判決、外交交渉でも二要素論は援用されています。実行と法的信念のセットは法的規範として用いられている承認ルールであり、ICJ規定などに明文化されないまま独立して成立しています。

実行とは。
国家機関つまり国家元首、国務大臣、外交官や国家機関の行為、議会の国内法制定や国内裁判所の判決など、
国家のあらゆる行動の事です。

物理的行為(例:公海上における他国籍戦の拿捕)と非物理的行為(例:抗議などによる意思表示、条約締結、国内立法と判決)があります。
上記のような作為によるものではなく、不作為によっても実行は生まれます。

チェック→ノッテボーム事件

次に、法的信念。これは必要性から言いますと、
法的権利義務を生まない実行との区別します。たとえば、他国船舶とすれ違ったときに敬礼するのはただの国家礼譲であり慣習法規範は生みませんよね。

また、国家の黙示の意思表示が法的信念の現れであるという黙示合意説(主観説)と
慣習法規範の成立前に法的信念が存在し、国家が法規範の存在を認識していること
自体が法的信念を持っていることとする法認識説(客観説)がある。
国際判例や国家実行は後者のの立場で、「法的信念を有するとは、法的義務に相当
するものにしたがっていると感じるfeel 」と北海大陸棚事件で解釈されている。 


続く


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