【やる気は使えば減る!?】
成果を最大化する研修デザイン
インストラクショナルデザインを活用して
効果的・効率的・魅力的な研修をデザインする!
IFT研修デザイナーの安藤円香です。
来月、管理職として「態度」を醸成する研修に登壇予定です。
教えるゴールには、次の3つがあります。
1つめは、身体の動作が伴い、筋肉を使う運動スキル、
2つ目は、頭を使って考えたり記憶する認知スキル、
3つ目は、ある状況や物事を選ぶ、避けるなどの判断を
下して自分の行動をコントロールする態度のスキルです。
例えば、
今日はやる気が出たから行動する、
今日はやる気が出ない行動しない
のように、
行動をするかやめるかを決めるのが態度です。
教えるゴールの中で態度の醸成は最も難しいと感じます。管理職研修では、自らの態度の変容と部下の態度変容へのアプローチがテーマです。
それでは、やる気はどうすれば出るのでしょうか。
向後(2018)は、本の中で次のように述べています。非常に興味深く参考になります。
以下、要約してご紹介します。
面倒なことであればあるほど自分のやる気を奮い立たせる必要があります。あるいは、やらなければいけないことから逃げようとして、別のことをする「我慢」をする必要があります。
「やる気」や「我慢」などの意志力は目には見えません。しかし、この意志力は使えば減るものだということが心理学の研究でわかっています。意志力は筋肉と同じで使えばつかうほど疲れます。意志力は使うと次第に減ります。夜になるほどお菓子を食べたり、ゲームを始めてしまうのは、我慢という意志力がほとんどなくなっているからです。夜寝る前が最も意志力が減っています。
意志力には限界があるため、いざというときに使えるように大切に使わなければなりません。そのために、なるべく意志力を使わなくても行動できるようにトレーニングする必要があります。具体的には、やるべきことを習慣にしてしまう「行動の習慣化」です。習慣化すると、「やろうか、あとにしようか」と考える必要がなくなり、意志力の節約につながります。
そして、意志力を習慣化するために3つの方法を示しています。
⑴ 段取りとペース配分を計画する。
大きなゴールは、長くても1時間で終わるような内容に細分化する。そうしておけば、楽にはじめられる。
⑵逐一記録し、無理があれば計画を修正する。
作業項目を書き出し項目を塗りつぶすこと自体が楽しみになれば、習慣化されたということになる。
⑶ふりかえりをして、次の機会のためにまとめておく。
次に同じような仕事をするときに気をつける項目をまとめておく。
⑴から⑶のように
「計画→実行→ふりかえりとまとめ」を一通り回せば、
ひとつのまとまった仕事を完成できます。このサイクルを意識することなく回せるようになれば、それが習慣化したということです。
習慣化すれば、「やろう」と決断する意志力を節約できて、
「ここぞ」という決断の場面で意志力を使うことができる、と述べています。
やる気は、使えば使うほど減るため、効率のよく仕事をして、必要なときに発揮できるようにすることが重要です。
「やる気」が出ないから行動しないというパターンを減らすためには、「もっとやる気をだして」と鼓舞よりも、システム的なアプローチが有効であることがわかります。
態度という質的なものに対して、量的にアプローチしていくことがインストラクションデザインの凄みでもあると感じます。
最後まで、お読みいただき有難うございます。
<参考図書>
向後千春(2018). 世界一わかりやすい教える技術 永岡書店
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