決戦!三番勝負 | 日出国の五千年検証のSFノート

日出国の五千年検証のSFノート

手前味噌な説ですが、確定している日本の正史は2600年余り…ですが、記録が残っていないだけで日本の国家としての歴史は5000年だと考えています。
科学的、地学的、考古学的、宗教学的にSF加味して検証したいと思います。

第18回です。

ミカとミナの兄弟対決の三番勝負の一本目が始まった。
一本目は、弓技。遠くの的に相手より数多くの矢を当てた方が勝利。というごく簡単なルールの今回で、通常は勝負にこだわるわけではなく、出場者は規定の8本の矢のうち何本を命中させる事が出来るのかという、技術向上の為の競技である。何本当てたからと勝ち負けを決める事では無かったのだが…。
先ずは、ミカが挑む。
「けっこう遠いよな…。」
ミカの体格から、弓を引く姿は力強いものを感じるが…。
一射目、力任せに引いたからか…的を大きく飛び越してしまった。
「兄貴と遠射の勝負だったら勝てないかもな(笑)」
二射目、力を加減し過ぎたのか…手前に力なく落ちた。
「やっぱり難しいなぁ!」
三射目、力加減の迷いが出て矢が左に大きく逸れた。
「くー。」
さすがのミカにも不得手はあるのだ。
そして続く七射まで、惜しいと言えばお世辞な位の下手な投射が続いた。
「一本くらい…。」
苦戦のミカにミナが近づいて行く。
「兄貴、力任せにしたってダメだよ。兄貴は安定した身体があるから、無理やりしなくったって矢は真っ直ぐ飛ぶさ。ほら、構えた。」
ミカは弟の言うとおりに弓を構え、的に集中した。
「弓技は、雑念があっちゃ矢は真っ直ぐにいかない。そして迷っちゃいけない。」
静かに矢が放たれる。

ミナの番となった。
兄と比べると弱そうな感じをうけるが、いやいやミナも十分勇者と言って間違いない。兄が強いと云う先入観に小さく見えるのだ。会場の皆が十分にミナを集中しないうちに第一射を放ってしまう。
パンッ。
的に矢が力強く刺さる音で一部の観客はミナが競技を始めたのを知る位だった。それくらい、早かった。そして観客が驚いているうちに二射目が放たれ、的に命中する。ほぼ休む事なく8本の矢を的に命中させた。
1対8。ミナの勝利。

三番勝負の二本目。相撲。ルールは前座にスサノオがデビューした対戦方法と一緒。闘技場の中央で対戦相手と向かい、左手を出し合って左手どうしが掴みあったら開始で、勝敗にあたるような形になれば勝負ありとなる。勝敗の決め方は、柔道に似ている。
弓技の終了後、休む間もなく相撲を取る。肝心の兄弟二人はあっという間に闘技場の中央に立っていた。観客と審判をする長老の着席を待つためだ。
ミカが長老達が所定の所にほぼ着いた辺りで口を開いた。
「この勝負は別に観客は要らない。始めようか。」
ミカが左手を差し出す。ミナが勢いよくミカの左手を掴む。掴んだ瞬間、ミナの身体が宙を舞う。
そして、気がついたら地面に叩きつけられていた。
「不用意に掴むな。相手のいいようにされるぞ。」
左手は握ったままだ。ミカが左手でミナを引き上げて立たせると、またそのままミナの身体が宙を舞う。
「兄貴、なんでこんなに簡単に投げられてしまうんだ?」
また、ミカが左手でミナを引き上げて立たせた。
「お前が棒みたいだからだ。」
「ミカ!勝負ありだ!もう、弟を叩きつけるな!」
審判の長老の一人が叫んだ。
「相撲じゃ、兄貴に歯が立たないよ。」
「お前の弓と同じだよ。」
ミカの勝利が確定し、1勝1敗の五分となった。

三番勝負の三本目、狩猟競技である。一頭の鹿か猪を競技エリアに放ち、決定的な一撃を加えた者が勝者となるのだが、本来はこの競技に個人の勝敗などない。この時代の狩猟は集団で獲物を追う狩猟である事から、個人の技に勝敗がかかる事は無かった。集団で仕止める為の技術向上が最大の目的だったからだ。だが、今回は勝敗を付けなければならないので、どちらが仕止めたかを審判の長老が判断する。
ミナは彼の通常装備である弓と相棒と言える大犬。
ミカは自分の身長よりも少し短めの槍を手にしていた。
山の中腹辺りに待機していた数人の男達に長老が合図を送ると、捕らえていた猪を競技会場の方へと放った。競技会場の方へと猪が突進していくように、後方から狩猟に長けた諏訪の男達に追われている。
「開始じゃ。」
長老の言葉にミナが飛び出した。
「兄貴、見ててくれ!仕止めてやるよ。」
大犬に股がったミナが迎撃に飛び出した。
駆け上がっていく大犬の背で山の斜面を突進して下ってくる猪に照準を合わせて弓を放つ。だが、矢が当たっているにもかかわらず刺さるどころかキズさえ付けられない。猪と交差するまでに実に4本の矢を当てながら、1本も効果がないままミナの横を突進して行った。
「さぁ、真っ直ぐ来い。」
ミカが猪の突進する進路の真っ正面に槍を右手に投げるような格好で構えた。
猪が、ミカに突進すると思った瞬間…ミカが槍を猪めがけて投げ放った。
槍は真っ直ぐ、猪の真っ正面から深く突き刺さり、ミカ手前1m程度の所で息絶えている。

勝者がこの瞬間決まった。

あまりにも豪快過ぎるので、観客達は一瞬呆気に取られて茫然としていた。
「勝者、ミカ!」
と云う長老の声に大歓声が上がった。
競技場から引き上げて来た時、スサノオにミカが近寄り、
「お前も連れていくぞ。帰ったら、準備しろ!」
御射山の競技会は、いつにもない盛り上がりを見せて閉幕した。

(つづく)
次回、諏訪を出発するスサノオに迷惑(?)な任務が…。