「界隈」とは、そのあたり一帯、近辺を表す。
その地域の雰囲気、イメージが「界隈」には込められている。
例えば、銀座界隈というと、ブランド店や百貨店を連想するし、
「渋谷界隈」なら、若者文化のポップなイメージが連想される。

界隈の文脈を汲み取るデザイン、または文脈に対して、どのような役割を果たすデザインをするかが
重要であると思う。

$空間デザイン・まちづくりのための1000のキーワード
しばしば、西洋の建築は三次元的であるのに対して、日本の建築は二次元的であると言われる。
一消点透視図法が発明されて以来、塔や教会を焦点とするヴィスタ的景観、遠近法的景観が、西洋の都市には容易に見出される。
それに対して日本の伝統的な景観づくりには門や柱によって絵画のようにある点からの景色を「生け捕る」ことが重視される。庭門などはその典型例といえる。

しかし、この二次元的な景観には、四季の移ろいや、植物の生長、構造物の経年経過による変形・変色など、時間的なディメンションが隠されている。これを景観工学では変遷景観と呼ぶ。
日本の風景文化が時間的変遷に敏感であることは、「八景式鑑賞法」や「花鳥風月」などからも明らかだ。
八景式とは、景観の構造や構成に様式を踏また名景の選定方法、または「金沢八景」などの選定された名景のことを指し、よい構図が得られる鑑賞地点を定め、それを楽しむための演出方法や体験方法などを解説している。この中にも、落雁(秋に雁が帰ってくる様子)、帰帆(夕暮れに船が帰ってくる様子)などといった、時間や季節に応じた景観の楽しみ方が含まれる。

平面+時間という意味では、日本的景観はある意味三次元かもしれない。

参考文献
景観用語事典/景観デザイン研究会

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「生命体の個体発生の設計図は、決して寸分の狂いもない全体構造の各レベルに「いい加減さ」をふくんでいる」(隠れた秩序 P104)という。

東京は「成り行き」にまかせたような、雑然として無秩序な印象をあたえる。
しかし、この生命体の発想に経てば、「いい加減さ」が、社会や環境の変動に柔軟に対応できる有機的な「秩序」を持っていることがみえてくる。

至る所で再開発が行われ、常に変わり続けるメタボリックで柔軟な都市。
パリの固定的で完成された景観とは真逆である。

「部分」が「全体」を作るという発想、ランダムな「いい加減さ」を含む生物的な構造が、日本の都市の特徴であり、速く劇的に変化する情報化社会における都市に求められるものではないだろうか。

参考文献:
隠れた秩序―21世紀の都市に向かって (中公文庫)/芦原 義信

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