しばしば、西洋の建築は三次元的であるのに対して、日本の建築は二次元的であると言われる。
一消点透視図法が発明されて以来、塔や教会を焦点とするヴィスタ的景観、遠近法的景観が、西洋の都市には容易に見出される。
それに対して日本の伝統的な景観づくりには門や柱によって絵画のようにある点からの景色を「生け捕る」ことが重視される。庭門などはその典型例といえる。

しかし、この二次元的な景観には、四季の移ろいや、植物の生長、構造物の経年経過による変形・変色など、時間的なディメンションが隠されている。これを景観工学では変遷景観と呼ぶ。
日本の風景文化が時間的変遷に敏感であることは、「八景式鑑賞法」や「花鳥風月」などからも明らかだ。
八景式とは、景観の構造や構成に様式を踏また名景の選定方法、または「金沢八景」などの選定された名景のことを指し、よい構図が得られる鑑賞地点を定め、それを楽しむための演出方法や体験方法などを解説している。この中にも、落雁(秋に雁が帰ってくる様子)、帰帆(夕暮れに船が帰ってくる様子)などといった、時間や季節に応じた景観の楽しみ方が含まれる。

平面+時間という意味では、日本的景観はある意味三次元かもしれない。

参考文献
景観用語事典/景観デザイン研究会

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