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他人から言われてショックだったことは数多い。
その中でも忘れることが出来ないのが、H君(当時、会社に出入りしていた大学院生。その後、なし崩し的に入社した男。今は経営者)からの一言だ。
「鎌田さんって、簡単なことを難しく言いますよね」


他人から言われたことを執念深く覚えているということがあったとしても、他人に言ってそれを覚えているというケースは少ない気がする。
私の場合、「昔、こんなこと言われたんすよ」みたいなことを言われても、ほとんど覚えていることがない。
むしろ、「オレがそんな(ひどい)こと、言うわけねえだろ」などと、頭から否定する始末だ。


そんなことで、他人から言われたからこそ覚えているのだ。
「鎌田さんって、簡単なことを難しく言いますよね」という、このケースでも、おそらくH君は覚えていないだろう。
併せて、H君はこうも言った。
「Sさんは難しいことを簡単に言いますよね」


これには参った。
そもそも簡単なことを難しく言うという、およそ説明能力が微塵もないと否定された上に、さらにごく身近で働いている同僚が自分と比較して遥かに優秀だと言われたのだ。


私は素直なのだろう。
H君の指摘を噛み締めて「確かに……」と妙に納得もし、その後、どうしていけばいいか対策を考えたようにも記憶している。
(ちなみに「簡単なことを難しく言う」問題点は比較的早期に克服したように思う。その後、「簡単なことは簡単に、難しいことは難しく」を経て、今では難しいことでも簡単に扱いすぎる問題を抱えています。)


そうなのだ。基本的に、私は何事も難しくするキライがあるのだ。
つい先日も、10数年前のH君の指摘を思い出させられる出来事に直面した。


「facebookの友達申請って、人どうしの”心理的距離感”を表してると思うんだよね。例えば、ACS(私の経営する会社)でオレに友達申請してくるヤツと、してこないヤツがいる。やっぱ、それぞれがどんな距離感で人と接するかを表してる気がするんだよ」
などと、いかにも解説っぽく偉そうに話していたところ、一緒にメシを食っていたIさんが一言。
「そんなもん、友達になりたきゃなるし、なりたくなきゃならないし、それだけじゃないっすか!」


その通りだ。やりたきゃやるし、やりたくなきゃやらんのだ。あまりにも当たり前の真理を”天然”のIさんに真正面から言われて、私はグウの音も出なかった。
そうなのだ。みんな、大して考えてなどいない。そして、それで特別困ることもないのだ。
いや、むしろ考えるだけ愚かとも言えるだろう。友達申請のことなど……
もっと言えば、あらゆることが「やりたいからやっている」だけに過ぎないのだ。


てなことで、「やりたいようにやればよし」との結論であっさり終わっておきます。