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昨日を最後に




2005年、サイバーエージェントの藤田社長に勧められるまま、何となくスタートしたブログでしたが、当初は先のことは分からないが、思いつくことを書いておけばいいだろうという感じでやっていました。
やっているうちに、ブログの”効果”というものを感じるようになって、一時はずいぶんと気合を入れて書きました。
やがて、また別の”意味”を感じて、それがために止めることができなくなりました。




最初に感じた”効果”はインテリジェンスが学生援護会と統合する時でした。
それなりの規模の統合でしたから、数ヵ月後に一緒に働くことになる皆さんに何らかのメッセージを送りたいと思っていました。
そんなとき、顔合わせの会合で「ブログを見ています」という話を聞いて、ブログならば、どんな所にいる人にでもメッセージを届けられるし、将来もしかしたら一緒に働くことになるかもしれない”まだ見ぬ”社員に効果を提供できるのではないかと気づきました。




もちろん、逆効果もあります。
言うまでもなく、ブログの発信者(私)は鎌田和彦であることを明示して発信している。
つまり、発信者として匿名性がなく、かつ、社会のあらゆる人々が見ることができてしまうという点で、(大げさかもしれないですが)責任ある発言でなければなりません。




ところが、そのブログに対して、寄せられるコメントは必ずしも人物が特定されるわけではない匿名的なものです。
匿名的に発信できるとなれば、非難であれ、中傷であれ、好きなだけ書き込むことができます。
発信者がいちいちそうした非難や中傷にこたえるべきとは思いませんから、それに応じたことはありませんでしたが、おそらく、そうしたコメントを寄せた人たちの想像をはるかに超えて、発信者にはダメージになることを身をもって実感しました。




私自身、あらゆる場面で、常に批判・非難を受け止める準備をして生きています。
しかし、それには、当然、説明したり議論したりする機会が伴うべきだと思っています。
ところが、ブログを通じた批判に対して、発信者は何もすることができません。
これは多大なストレスでした。
(結局、コメントを見ないことにするしかなかった。)
(コメントやめればよかったでしょ、というのもありますが、わざわざなくすのも…)
(ならば、こんなこと書かなきゃいいんでしょ、ということかもしれませんが、もうやめるつもりなんだから許してください。)




それから、正直、これまで、言いたいこと、書きたいことの10%くらいしか書けませんでした。
発信者として様々な側面に照らして、問題があってはならないという意識がありましたから、そもそもテーマにも気を使い(言い過ぎかも)、それなりに配慮して書いていたつもりです。




ところが、世の中には、書いてあることが”ごく一部分”だということに気付かず、あたかも”全部”だと理解する人がいたりする。
これにも困りました。





そんなことで、ある時期、すっかりブログ更新に倦んで、やめてしまおうと思っていた時、別の効果を感じました。
それは、昔からの友人・知人、一緒に仕事をした人々など、私の近況に関心を持ってくれいている人たちが、ブログを通じて「鎌田は元気かな」とか「最近、何をしているのかな」といった情報を摂取してくれているということがわかったからです。




なるほど、ブログというのは―これはインターネットというツール全体に言えることかもしれないですが―単に不特定多数が情報を受け取るだけでなく、特定された集団に向けて発信することにも力を発揮するんだという、当り前のことを感じました。




そんなことで、最近は、自分の近況を伝えるために書いていたつもりですが、それでも自由な発信はできなかった。単なる近況を書くことにも、時に逡巡があった。おそらく、考えすぎなのかもしれません。
あるいは、このブログがインテリジェンスという会社人格を背負っている面があって、それを意識したからかもしれません。




さて、これまで長いこと、私の秘書をしてくれていた菅原さんが昨日を最終出社として、インテリジェンスを卒業されることになりました。
この場を借りて、菅原さんに感謝申し上げます。

そんなことで、私にコンタクトいただく際は、直接お願いいたします。