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先生とランチして…

一橋大学経営大学院の楠木先生と久しぶりにお会いしました。
楠木先生は同世代だというだけでなく、彼の人間性というか考え方というか、全然違う世界で生きているかただけれでも、すごく共感できるので、勝手に親近感を持っています。
楠木先生の研究内容を詳しく理解しているわけではないですが、過去でいうと「組織の反対側は市場だ」という話はすごく納得できることでした。




最近の研究的取組としては「これからの戦略はストーリーがないとダメだ」ということだそうです。
これも確かに、その通り。単に性能を競い合う時代じゃなくて、そのサービスや製品を形作っている一連のストーリーを買い手は共有するようになっている。




学術の世界に生きる方とお会いして、よく思うのは、私のような一般人がなんとなく習慣的に、あるいは、感覚的にやってしまっていることを彼らは理論的にわかりやすくまとめてくれるということです。
まぁ、それが研究というものなんでしょうが、一般人が体系立てて考えきれていないことを理論としてまとめてくれる。




楠木先生曰く「たいていの問題は時間と規模によって解決できる」。
「大規模なことを短時間でやろうとするから失敗する」のであって、「規模を小さくして、ゆっくり時間を掛ければ解決できることが多い」というお考えでした。




まさにその通りと思います。
経営者というのは、楠木先生の言うところの「大規模なことを短時間でやって失敗」することが実に多い。
そもそも経営者という生き物は”規模がでかいこと”と”スピードが速いこと”で評価される。
(勿論、これとは異なる評価軸も存在しますが…)
が故に、ついついでかいことを短時間でやろうとするのでしょう。
(常識的に考えれば、できやしないのにねぇ…)




経営者が受けるプレッシャーというのは、実は経営者自身が作り出してしまっているのであって、やれ株主の圧力とか、社員の期待とか、競争上の生き残りとか、そんなものは(経営者のモチベーション上)大きなパーツを占めていないというのが、私の見解です。




人間(特に経営でうまくいくような人間)というのは、勝手なものですから、他人から受ける影響によって、苦しいことを自ら進んで実行するはずなどありません。
そんなことじゃなく、もっと強いエゴによって突き動かされるもの。
つまり、自尊心というかプライドというか自己発現欲求というか、誰かよりも”でかくて”誰かよりも”はやく”実現したという栄誉が得たいために苦しいことでもチャレンジする。





そこまでは間違っていないんだけれでも、いつの間にか、自分自身の欲求で動いているにもかかわらず、それを「市場からの要求だ」などとすり替えたり、自ら作り出したプレッシャーをいつの間にか、本当にそれが社会から望まれているように錯覚したりするのが怖いことです。
そこまで世の中は期待していないのにねぇ…ついついでかいことを早くやりたくなるのですねぇ…