白と黒
そばに御前そばというのがありますが、これはお殿様の御前に出したということで”御前そば”なんでしょう。
この御前そばは色が透き通ったように白い。
一方、田舎そばというのがあって、こいつは恐らく昔から庶民が口にしていた素朴なそばだから、田舎そばなんだろうと思います。
この田舎そばというのは、黒い。
つまり、古から白は高貴なもの、黒は卑しいものといったような感覚があるように思います。
私がよく覚えているのは、「アルプスの少女ハイジ」。
ハイジがクララの家に奉公(?)に行ったときに、「白いパンだぁ~」と歓喜するというシーンです。
ハイジはアルプスの田舎暮らし。
貧しいハイジの家庭で日常的に食べるのは黒いパンで、庶民は滅多に白いパンを口に出来ない。
そして、ハイジが里帰りするときに白いパンをお土産として持って帰る。
つまり、田舎の庶民と都会のお金持ちを対比的に描くフックとして黒いパンと白いパンが登場していたわけです。
そういえば、一年ほど前に読んだ「食品の裏側」という本(これは、おもしろくて恐ろしい本です)に、真っ白いレンコンとかゴボウというのは、漂白加工されている可能性があるから気をつけろというようなことが書いてありました。
- 安部 司
- 食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
つまり、私たちの”白いもの信仰”を衝いた商法というものが存在するわけで、これは侮れません。
逆に、洗練された白いものよりも、素朴な黒いもののほうが栄養価が高い、あるいは、変に加工されていないといったようなことで、黒いもののほうが好まれたりするのも現代です。
たとえば、真っ白いゴボウよりも、黒い泥のついたゴボウのほうが安心といった考えです。
しかし、企業というのは実に抜け目ないのであって、ややもするとゴボウにわざわざ泥を塗って出荷したりする可能性もあります。
気をつけたいものですね…(まぁ、気をつけようもないですけど)