ベンチャーは野蛮人が紳士的にがんばる… | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

ベンチャーは野蛮人が紳士的にがんばる…

最近、ブラックストーンというプライベート・イクイティ・ファンドが上場しました。
私のように事業会社で生きている立場から見ると、どうも「ファンドが上場」というのは違和感があります。



一方、確かにファンドが事業会社に投資して、その投資回収を行う方法として、ファンドそのものを上場してしまうという考え方は「なるほど」とも思います。
いろいろな事業会社に投資しているファンドそのものが上場するということは、事業会社的な視点で見れば、投資先企業の親会社が持株会社として上場したようなものと解釈できます。




それにしても、金融業界の方々(というか投資銀行の世界の人々、特に米系)というのは、本当に頭がいい。
金儲けの手段を次々と考えていく。しかも事業会社的視点に立つと「それは反則?」と思えるようなことも編み出してしまう。




ブラックストーンの上場ですごいと思うのは、日本で常識的に考えられている上場とは仕組みが違うこと。
ブラックストーンは株式(share)を発行せずユニット(common unit)なるものを発行するそうです。日本で言えば、いわゆる種類株式みたいなものでしょう。
ブラックストーンはユニットを発行するLP(limited Partnership)として外部株主の権利を制限しています。
いわゆる一般的なコーポレイト・ガバナンスを受けなくてよい。




一般的なアメリカの上場企業のように過半数以上の社外取締役を置く必要もなく、更にその社外取締役の指名も経営陣が自由にできる。
更に、役員報酬の決定権も経営陣にあり、報酬委員会も設置されないそうです。
つまり、ブラックストーン株主(厳密には株主ではなくユニット主)は一般企業の株主に与えられる権利をかなり制限されています。
また、ユニットを20%以上保有した場合には、あらゆる決議に参加する権利も失うそうです。




こういう構造を作り出すのが金融業界の人たち(というか投資銀行の世界の人々、特に米系)のすごいところだと思います。
ある意味で、ゲームのルールそのものを作ってしまう。
私のように事業会社にどっぷり浸かっている人間はルールの中でしかプレーできません。
だから、本性は野蛮でも、プレーは紳士的です。



笑っている


批判を恐れずに言うと、金融業界の(というか投資銀行の世界の)皆さんは逆で、本性は紳士なのでしょうが、プレーは野蛮に見えます。





昔、サッカーは野蛮人のやる紳士のスポーツで、ラグビーは紳士のやる野蛮なスポーツと聞いたことがあります。
事業会社(特にベンチャー企業)はサッカーですね。野蛮人が紳士的にがんばります。
投資銀行の世界はラグビーですね。紳士の皆さんが野蛮にプレーする。
逆をやると失敗すると思います。
ちょっと言い過ぎました…


オー