経済事件の厳罰化 | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

経済事件の厳罰化





日本ではあまり報道されていませんが、ホリンガー・インターナショナルという会社の経営者であるコンラッド・ブラックという人の裁判が開始されました。




ホリンガー・インターナショナルという会社はメディア会社で、経営者のコンラッド・ブラックはルパート・マードックを抜くかもしれないといわれた人(らしい)。
それだけ一世を風靡した人が株主に対する詐欺行為をはたらいということ(会計的操作などの不正な計上)で公判が行われたわけです。




ちょうど、今、日本で起きていることを思い出させるようなニュースです。
日本の事件では実刑かどうかという点が論点になっていますが、海の向こうのブラックさんは全ての罪が有罪となった場合には、何と懲役101年!




さすが、アメリカ合衆国、スケールが違うというか、やることが違います。
すでに、出ている判決ですが、ワールド・コムの元CEOのバーナード・エバースが懲役25年、エンロンのジェフリー・スキリングが懲役24年ですから、ブラックさんがそれなりの刑になっても、海の向こうでは驚かないのでしょう。




経済事件に対する厳罰化の傾向は世界的に見られるということでしょうか…
何においても世界をリードするアメリカならではの極端な厳罰化ですが、この動きをゆり戻す議論が進んでいるようです。




実際、101年の刑となれば、「単なる盗みだけではなく、殺人やレイプをはたらいた人よりも厳しい」ということで、その厳罰化が本当にふさわしいのか(?)というわけです。
また、牢に収監して懲らしめることの目的は再度の犯罪を抑止しつつ、反省を促し、的確な社会復帰を目指すということのはずなのに、「ホワイトカラー経済犯に対する何十年という刑期はそうした目的に合致しない」のではないかということもあるようです。




確かに、ワールド・コムやエンロンで懲役に服している人たちが20年を超える服役後に、社会復帰する可能性はきわめて低いわけで、判決の性格としては罰することだけにフォーカスしているのであって、受刑者の的確な社会復帰など目指してはいないのでしょう。




資本市場システムが進化を遂げた結果、上場企業が不正を働いた場合に、世の中に与える影響の規模と範囲はすさまじいものがあります。
それだけの影響範囲と規模(ブラックさんが株主に与えたとされている損害額は6000万ドルだから、日本で話題になっている事件と経済規模としては近似している?)に応じた罰が与えられるべきだということなのでしょう。




しかし、一方で、海の向こうでされている議論のように、殺人事件に代表される絶対に復旧することが出来ない事柄とは違って、経済事件によって与えた損害は(理論的には)復旧が可能なわけで、それに対して下される罰が懲役101年というのは、さすがに行き過ぎかもしれません。




逆に、日本でされている議論は、海の向こうから見ると、「甘い」と見えるでしょう。




それにしても、コンラッド・ブラックさんという名前はすごい。
日本人の感覚からすると、B級映画に登場する悪役の”いかにも”な名前に感じられます。
名前だけのイメージですが、すごく強そうな…
ブラックさんの今後は是非ともウォッチしたいと思います。



オー