飛行機か新幹線か? | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

飛行機か新幹線か?



大阪への出張に新幹線を使うべきか、はたまた、飛行機を使うべきか、議論の分かれるところと思う。
最近、行き帰りの30分を有効に過ごしたいという思いから、飛行機を利用するようにしているのだが、なんせ、まぁ、出発遅延にはまいる。



実際、羽田・伊丹間の飛行機の定時発着の率はどの程度なんだろうか?
ご存知の方がいればご教示願いたいが、とにかく、直近2回の出張で2回とも、しかも定時到着が大事な朝のフライトで遅延だからたまらない。




直近2回の大阪出張の目的は、採用セミナー。
朝10時開始、場所は梅田研修センターというウェスティンホテル近くのいかにも飾り気のない専門施設(この施設について書くと本題から外れるが、飾り気がなく学校のような印象)。





この朝10時に間に合うためには、A社運行の8時発の便に乗れば何の問題もない。
ただし、8時にちゃんと飛んでくれればの話。





本来、飛行機での移動は、大阪中心地への出張なら、新幹線との比較で30分ほど得をする。はずなのだが…
ここ2回連続して、遅延です。
A社には是非ともしっかりして頂きたいもの。
初回の遅延は機材故障か何かで、搭乗直前まで遅延を知らされませんでした。
でも、それがかえって良かった。
最初から相当の遅延があると知らされれば、バタバタと対応することになるわけで、ジリジリと遅延時間が長くなるという場合は、むしろイライラもしないしジタバタすることもなく、待ち続けるしかありません。





ところが、2回目の遅延は羽田でチケットを発券する時に、「1時間出発時間が遅れる」となっていた。
私の8時発は、羽田到着時点で絶望的状態。
となると、どうにかしないといけなくなるわけで、まず、A社のカウンターに行って代替策を相談。
「J社の8:30発には空席があります」という話だったので、それじゃあということで、A社の8:00発をキャンセル。
で、促されるままに、J社のカウンターを目指しました。



冷や汗かいている


まさか、羽田空港がこんなに広くなったとは…
まさか、A社ターミナルからJ社ターミナルまで移動することになるとは…
しかし、慌てることもあるまいと高を括って”大人の余裕”で歩いていったわけです。
だいぶ距離がありましたが…





で、J社のチケット購入カウンターを探すわけですが、
なんと、J社ターミナルは行き先によってウイングが分かれている…
最近、J社の国内線に乗ることがなかったので、ちょっとウロウロ。
この辺りから、少しづつ余裕がなくなっていくわけですが、ひとまず関西方面のチケット購入カウンターに辿りついたものの、そこが長蛇の列。





ふと、その段階で嫌なものが視界に入ります。
「8:30発伊丹行き→→→満席」
人間、見たくないものを見たとき、自分に都合のいいように解釈しはじめるもの。
『大丈夫。A社の人が予約を入れてくれた(はず)…』
『問題ない。A社の人が「お席は空いております」と言っていた』





が、現実主義者の私は、A社で受け取ったチケットを再確認。
どうも、単なるオープンの羽田・伊丹間のチケットでしかないような…
先行きへの楽観と悲観の間で揺れ動く41歳男性…






そんなことで、一人でドキドキしながら、カウンター窓口の稼動状態を注視。
『早くせぇよ!』と心で念じつつ、唱えつつ…





ようやく順番が回ってきて、もはや助けを求めるがごとく、すがるような思い。
今までこんなに飛行機に乗りたいと思ったことがあっただろうか…
が、結果は予想できていましたよ…「予約なし」しかも「満席」。
『やはり…やはりそうなのか、くそぅ、Aめ!Aのカウンターのあいつめ!』




怒っている


いよいよ人間の小ささが出て、憎しみがこみ上げてきました。
アタマをグルグルに回転させ、今更ながら1時間遅れの8時発つまりは9時発を目指してA社ターミナルに戻るか…
しかし、なんせ予約を取り消しているわけで、そっちはそっちでどうなるやら…
で、J社からは8:30発への”キャンセル待ち”を提案され…





8:30発なら何とか10時のセミナーに間に合うかもしれないわけで、ここはキャンセル待ちをしつつ、同時に1時間遅れの昔は8時発の予定で9時発になった憎むべき飛行機にも再度の予約を入れるという判断だろうと。





飛行機のキャンセル待ちなどしたことがないので、どこで”待つ”のか知りませんでしたが、搭乗口で待つんですねぇ。
人間、自分に無関係なことは視界に入ってこないわけで、搭乗口の近くにキャンセル待ちのカウンターがあるなど知りませんでした。
しかも、キャンセル待ちの乗客(乗客になるかもしれない人)に対して、係りの人が執拗に何遍も(だいたい30秒に1回くらい)「キャンセル待ちの方は、こちらにチケットをお出しください」みたいなアナウンスを行っている。
これも、普段は全く耳に入ってこないアナウンス。
つまり、自分に関係ないと、こんなに頻繁なアナウンスすら完全に封殺することができるのです。





ところが、今日はこのアナウンスがえらくよく聞こえてきて、恨めしい。
更に、驚くべきことに、このキャンセル待ちカウンターの周辺に実に多くの乗客が集まっている。
そして、カウンターの向こうにいる係りの女性を中心点とする半径3メートルの半円の線上に、獲物を狙うハンターのようなキャンセル待ち乗客たちがポツポツと立ち並んでいる。
ちょうど、係りの女性が180度どの方向からも取り囲まれていて、たまに半円線上にいるハンターが係りに飛び掛るようにして、「まだか!」みたいな感じで食らいつくわけです。





今、この人たちは飢えている。
飛行機に、座席に、飢えている。
当然ながら、私自身も座席に飢える一人。
今すぐ「これに乗らなきゃ、間にあわねぇんだ~」とばかり、係りに飛び掛りたい心境です。





が、みっともなくてできない…
かろうじて外見は平静を保ちつつも、アタマの中はただグルグルとこの先どうなるかを”ムダに”案じている。
実に小さい…そして、実にムダな脳の使い方…
本来はジタバタせず、読みかけの『坂の上の雲』(第6巻)を読めばよい…


司馬 遼太郎
坂の上の雲〈6〉


がしかし、その余裕が無い。




アタマに去来する最善策は、「買収?」。
まさかJ社の人が買収されるはずもなく…
が、しかし、キャンセル待ち上位者のうち、火急でない人を見つけ出して「値交渉」することは可能では?
などと、あさましい邪な計画を練るものの、実行できず…





そうこうする間に、先行きがわからないということを現場に伝えないといけない。
ところが、これまた、電話番号がわからない…
出張前の金曜日夕方、「もしものために」と秘書から渡された現場スタッフたちの電話番号を「2度連続で遅れるなどあり得ない」と高を括ってゾンザイに扱った天罰が下ったのです。
それで、数本電話を掛けまくって、ようやく現場とつながり、しかも「先行きがどうなるかわからない」という対応の打ちようのない連絡。




そして、なんと(!)、クラスJにグレードアップしたいキャンセル待ち乗客が登場。
すでに座席にありついているにもかかわらず、グレードアップなどという贅沢を言う人間にメラメラと憤りがこみ上げます。
なんと身勝手な、そして、なんと小さい憤怒…
さらに、「クラスJのキャンセル待ちはもう無理ですねぇ」とカウンターにいなされる乗客の姿を見て溜飲を下ろすという、人間の汚い部分を思いっきり噴出した状態。
しかも、そうした状況を逐一逃さず観察するという、これ以上ムダなことはなかろうという時間の過ごし方です。
もちろん、クラスJにアップグレードしたい乗客がアップグレードできようができまいが、私のキャンセル待ちに何の影響も与えません。
にもかかわらず、そうしたやり取りをムダにハラハラしながら追っている。





そんなこんなで、自分の小ささとムダの多さに、ただただ呆れかえる土曜日でした。





因みに、8:30出発の便に辛うじて乗せてもらいまして、伊丹からの移動にも成功して、どうにか10:00のセミナーには間に合いました。
かなりムダな達成感を味わうことができました。
そして、「こういうプロセスがベンチャーの醍醐味だ」などと、意味不明な感想を言う始末。
全く反省できないという問題も発覚したのでした。



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