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ニュービジネス探訪


営業「社長、貴重なお時間有難うございます。今日は御社の成長の秘密を余すところなくお聞きしたいと思います。」


社長「もちろん、何でも聞いてください。」


ライター「では、ここからは私が。今回のインタビューの内容は当社媒体の編集記事にさせていただきます。求職者の方にはかなり人気のコーナーですので。」


社長「それはいいですね。良い人が見てくれることを期待していますよ。」


ライター「早速なんですが、御社の現在の業容~売上、出店数、社員数などをお聞かせいただけますか?」


社長「現在、『活きふぐ』チェーンは全て直営で35店舗展開しています。売上については今期だいたい60億円くらいでしょうか。社員数はだいたい100名くらいです。」




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独自の食材を展開
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ライター「御社の成長の要因は何ですか?」


社長「『活きふぐ』のコンセプトが消費者に受け入れられたということでしょう。『活きふぐ』は通常のふぐ店と比較するとはるかにリーズナブルにふぐの味わいを得ることができます。また、他店にはないメニュー作りも私たちの自慢です。」


ライター「御社は他のふぐ店に比べてリーズナブルにふぐを提供できるのはどうしてですか?やはり、御社のふぐは養殖だからでしょうか?」


社長「当店の『活きふぐ』は養殖ではありません。」


ライター「養殖じゃない!ならば、天然ということですか?」


社長「天然でもありません。『活きふぐ』は養殖でも天然でもありません。『活きふぐ』です。」


ライター「素人なので、よくわかりません。もう少し、わかりやすく説明してください。」


社長「単純な話です。『活きふぐ』は養殖でも、天然でもない。いわば”人工ふぐ”です。」


ライター「人工ですか?人工ということはふぐではないということですか?」


社長「その通り。ふぐではありません。『活きふぐ』です。」


ライター「それでは、消費者をだますことにはならないのでしょうか?」


社長「だましているなんてことは、全くありません。当店では、”ふぐ”を出しているなんて一言も言っていません。お客様から「これはふぐですか?」と聞かれれば、「ふぐではなく、活きふぐだ」とはっきり応えるように厳しく指導しています。当店は”活きふぐ”の店であって、ふぐの店ではありません。」


ライター「社長は人工ふぐに相当自信を持っている…?」


社長「その通りです。私たちは”活きふぐ”に明確な自信を持っています。私に言わせれば、”活きふぐ”は”ふぐ”よりもうまい。」


営業「確かに御社のお店で食べる料理はどれも本当においしいですよね。私なんて、何度でも食べたいです。」


ライター「私は一度しか”活きふぐ”を食べたことはありませんが、確かにおいしかった。あれが人工ということが信じられません。」


社長「そもそも、当社は関東圏だけに出店しているチェーンですが、これは、明確な戦略に基づいている。市場調査をした結果、関東人が年間で口にする”ふぐ”の総量はわずか1万トンに過ぎない。これは、関西人に比較して、わずか20分の1です。また、東京都民と山口県民を比べた場合ですが、人口を勘案して一人当たりの”ふぐ”消費量を比較すると、東京都民は山口県民の100分の1の”ふぐ”しか摂取していないのです。更に、調査すると、年に1回以上”ふぐ”を口にする関東人はわずか4%に過ぎないのです。これは、関東圏における異常ともいえる”ふぐ”規制の結果と考えています。」


ライター「つまり、それはふぐ調理に免許が必要ということでしょうか?」


社長「簡単に言えばそういうことです。ふぐ調理の免許は全国的に見て、極めて一般的な規制です。しかし、特に東京都などでは、その規制が非常に厳しい。恐らく、まだ流通機能が乏しい時代に、鮮度管理の行き届いていないふぐが多数、関東圏に流入して食中毒被害が広がったからでしょう。実際、いわゆるふぐの毒での被害というのは、目だって多いわけではなかったのです。」


ライター「そうした規制が御社にとっては、むしろ”追い風”だったと…」


社長「その通りです。そもそもふぐ初心者というか、あまりふぐを口にしない方が多いということは、それだけ未開の市場が大きいということです。また、ある意味、ふぐをあまり食べたことがないというのは、当社の”活きふぐ”を定着させやすい環境であると認識しています。」


営業「確かに、私なんて滅多にふぐなんて食べませんもんねぇ。普通の関東人は本物かどうかなんて判断できないだろうなぁ。」


社長「繰り返しになりますが、”活きふぐ”は”活きふぐ”です。本物とか偽者とかそういうものではありません。当社のお店に来店されるお客様のうち、いわゆるホンモノのふぐを食べたことがある人は60%ほどです。残り40%の方々にとっては”活きふぐ”こそふぐなのですよ。」





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メーカーとしての発展
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ライター「御社のこれまでの成功については良くわかりました。今後の成長戦略をお聞きしたいのですが」


社長「当社は”活きふぐ”チェーンという外食チェーンであると同時に、”活きふぐ”という極めてユニークな食材を製造するメーカーでもあるのです。当社が製造する”活きふぐ”関連食材に興味を示す他の外食チェーンや一般の食卓向けに提供したいという量販店さんも数多い状況です。今は、数社に対してだけ卸していますが、将来は更に拡大する可能性があります。
また、いわゆるイミテーション・フード市場は経産省の調査によると国内で7千億円の規模に達しています。年率2桁成長が続いている食品セグメントでは他に類を見ない成長市場なのです。2010年の市場規模は1兆円に達するはずです。当社にとっては、まさに宝の山ですよ。」


ライター「イミテーション・フード市場についてもう少し詳しく教えてください。」


社長「たとえば、カニ足風味のかまぼことか、最近問題になった食肉の残余部材を使った成型加工牛肉などが代表例ですね。いくらやキャビアなど高級食材を中心に発展してきたのがイミテーション・フードの特色です。一般にはフェイク食品とも言われます。」


ライター「イミテーション・フード市場で御社はどんな戦略を展開する予定なのでしょうか?」


社長「当社は非常に高い成型加工技術を持っています。たとえば、”活きふぐ”でいえば、ふぐが持つ微妙な歯ざわりを当社独自の高分子化学を用いた成型技術で実現しています。ふぐ特有の粘着性のある歯触りと微妙な弾力感を再現するために実用新案だけでも3本保有しています。”活きふぐ”も登録商標ですし。自ら作り上げた技術を知的所有権として保護する戦略をとっています。」


ライター「真似されないようにしている?」


社長「その通りです。偽者には断固とした対応を取ります。」


ライター「今後は”活きふぐ”以外への多角化があり得るのでしょうか?」


社長「それが重要だと考えています。現在最も力を入れているのがクジラですね。間もなく”活きクジラ”として市場に出す予定です。それから、これまで食材として使いにくかった種を積極的にイミテートすることも考えています。鹿、狸、狐、イノシシ。それぞれ”活き鹿””活き狸””活き狐””活きイノシシ”という形でシリーズ化する予定です。それから、絶滅種を復活する取組ですね。代表例はマンモスです。調査すると「食べてみたい食材ランキング」でマンモスはベスト10に入っている。大きなビジネスチャンスですね。それから、これはまだまだ研究段階ですが、”空想の動物”を食材にしようという取組です。」


営業「ほう~、ユニコーンとかですか…」


社長「一角獣、麒麟などですね。ゴジラをやりたいという研究者もいます。空前の”たべやすい”ゲテモノ食いブームを巻き起こすことが私の夢です。」



(当たり前ですが、全部「作り話」です)