港屋というそば屋 | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

港屋というそば屋

港屋というそば屋




そば屋論争に戻す気はないものの、なかなか優れたそば屋さんを
見つけました。



お店は港屋。
港区の虎ノ門か愛宕かそのあたりです。



立地は決して良いとは思いません。
ビジネス街のはずれという感じ。
港区のど真ん中なのに、なぜかうらびれた寂しい感じのするところ。




さて、この港屋さん、そんな立地なのに昼時はあふれんばかりの
行列が出来ております。
(その行列が気になっていたのと、ある人から「うまい」と聞かされて
今回行ってみた次第です。)




港屋さん、要は人気店であります。





入りますと、店は狭い。
だいたい12~13坪と見ました。
そば屋として決して広くはない。





で、椅子はありません。立ち食いであります。
どかっと正方形のテーブルが設置されている。
だいたい2.5m角くらいでしょうか。




そのテーブルが狭い店内に頑丈にすえつけられていて、
余計狭く感じる。
でも、この不釣合いなテーブルの存在がこの店の特異性を引き立たせている。





入り口付近の食券売場(?)で注文。
メニューは通常のそば屋のそれではありません。
ほとんど聞いたことのないものばかり。
でも、確かにそばではあるようです。





私は、お奨めの「肉そば」を注文。
その後、テーブルの奥に据えられたカウンターで「肉そば」を
受け取ります。


そば


狭い通路(というかテーブルと壁の隙間)を通って、テーブルに
自分の場所(立ち位置)を陣取ります。




そばは想像とは全く違う姿をしていました。
まず、そばはドンブリに盛り付けられている。
かなりの量です。
そばの上にねぎがどっかり、更にその上に煮からめた牛肉がどっかり。
(煮込んだ牛肉は牛丼のそれのイメージ)
さらに、その上にふんだんの刻み海苔がのせられて・・・
ドンブリがてんこ盛りの状態です。





つけ汁というかつけだれというか、ごま油の風味が効いており食欲をそそります。
でもって、それがかなり辛口です。
そばとともに吸い込むと咳き込む感じ。
それくらいからみが効いている。

例のでっかいテーブルの上に、整然と並べられた薬味たち。
揚げ玉とねぎ、そして何と生卵。



なるほど、この辛さを緩和する意味で生卵は有効です。
むしろそのままだと咳き込んでしまって、食べられない。




なかなかうまいそばでした。量が多すぎて食べられませんでしたが…




さて、港屋さんは一見、竹之内豊のような店主が3人の女性アルバイトを
雇って経営しています。
そば屋の議論を蒸し返すつもりはありませんが、このお店、実に現実的に
ビジネスとして見事な成立を見せています。





たとえば、立ち食いなのに、単価はそれなりに高い。
私が食べた肉そばは850円でした。
恐らく平均の客単価は700円程度はいっていると見ます。
でかいテーブルに収容できる最大数は18人くらいでしょうか。





一人当たりの滞留時間は長くても10分程度でしょう。
ピーク時に捌ける客数は11:30~13:30の2時間で、
ざっと200人くらい。
昼時の売上はだいたい14万円程度と想定されます。




雑駁ですが、夜についても同じ時間数、客数、客単価で
考えると、1日当たりの売上は28万円。
1ヶ月当たりの営業日数を20日として考えると、年間売上は6720万円。




そばも粉モノということになるのでしょうが、原価は安い。
地代家賃、人件費などの諸経費を多めに見積もっても、
港屋はかなりの利益を上げているはずです。
(港屋さん、勝手な想定をしてごめんなさい)




港屋のご主人に「こちらのそばは量がたっぷりですね」と声を
かけると「私は少ない量のそばが嫌いなんです。だからウチではたっぷりの
量を出すようにしています」という答えが返ってきました。
なるほど、こちらのご主人はしっかりとしたコンセプトを持っている。
彼ならではのそばに対する思想を感じます。




ここで私は考えます。
港屋のご主人は、果たして「少ない量のそばをどうにかしたい!」という
理念からそば屋の開業にいたったのでしょうか?





そうではないはずです。
このご主人はどんなビジネスが儲かるだろうか?
ということを真剣に考えて、その結果、こうしたユニークなスタイルの
そば屋の経営に至ったのだと推測します。




で、その結果、確かに顧客から評価を受け、この店でしか味わえない
ユニークなそばを提供し、彩を放っている。





何回か書いたそば屋議論で私が言いたかったことを
体現したそば屋さんと出会った気がしたのでした。