なぜか少子化問題
最近、少子化対策の会合に出ました。
ある事情で、どうしてもということだったので出席しました。
正直、「少子化対策??」と思い、かなり逃げ腰な姿勢でした。
会議中、寝ないようにするにはどうすればいいか思案したくらいです。
ところが、そこで聞いた話が結構興味深かった。
政策研究大学院の松谷教授のお話を聞いたのですが、その話が私にとっては、
大変に「意外」でありました。
松谷先生は人口学(?)の第一線の先生だそうで(恥ずかしながら、全くもって
存じ上げず…)、ベストセラーの書籍も出している方。
『人口減少経済の新しい公式』という本(日本経済新聞社刊)。
かなり売れているそうであります。
で、その「意外に」思ったポイントなのですが、
松谷先生は人口減少すること、少子化することを大変に冷静に受け止めておられる。
人口減少について研究されているのだから、それに対して問題意識があり、
「何とかしよう」「どうにかすべきだ」といった態度なのかな、と考えるわけです。
ところが、先生は「少子化はしょうがないですよ」的な感覚です。
さらに、「確かに日本の人口は減少するけど、だから何だって言うわけ」的な
危機感のようなものがなく、大変自然体に人口減少を受け止めていらっしゃる。
松谷先生によれば
「人口減少して、確かに日本のGDPは下がるだろうけど、そんなの大したことじゃない」
「そもそも現在のドイツのGDPは日本の1/2で、フランスのそれは1/3。
だけど、国際社会での発言力やプレゼンスは全然低くない」
「人口減少=社会的大問題という考えが短絡的」
という感じであります。
なるほど、確かに「問題だ!問題だ!」という割りに、少子化の、人口減少の、
何が問題なのかはっきりしない面がありますね。
もしかしたら、少子化の何が問題なのかわかっていないのが、最大の問題点かも
しれません。
思うのですが、問題だと考えている問題が本当に問題なのかが問題ですよね。
少子化しても日本で生きる私たちの豊かさがさらに向上していくならば、
問題ではないはずです。
子供が少なくなるという漠然とした不安があることは確かです。
なんだか活性感のない、元気がない社会になってしまいそうですもんね…。
でも、それはまだ見ぬハイパー高齢化社会に対する見えない恐怖かもしれません。
ちなみに、今回の会議まで、私も「少子化は問題だ!」と考えておりました。
そして、それを解決するためには、「是非とも移民を受け入れるべき」と考えておりました。
でも、松谷先生によれば、移民を受け入れても問題の先送りにしかならず、
少子化・人口減少の対策にはならないそうであります。
勉強になりました。
ちなみに、「なぜ、少子化するのか?」という素朴な質問に対して、
先生曰く…
「諸説あるが、私見ながら生物学的要因が最も高いと思う。」
「これまでの人類の歴史を見ると、
年寄りが増えると女性は子供を生まなくなる。」とのこと。
よく、戦争が始まると、なぜか男の子がたくさん生まれるという話が
ありますが、それと同じように、
年寄りが増えると女性は子供を生まなくなるそうであります。
人の平均寿命が伸びて、人間の個体数が増える。
その個体数を調整するかたちで、少子化が進行するのだそうです。
ある意味、個体数を一定に保つために、女性が子供を産まなくなるのだという
ことでした。
勿論、生物学的にそうなのであって、女性が意識的にそう行動するということ
ではありません。
でも、ふと考えれば、意識してそう行動しているように見える人もいるかもしれませんね。
だから、どうしたという感じではありますが…