神経の無い人、神経の太い人(2) ナシオさんの挫折 | 丸の内で働く社長のフロク Powered by アメブロ

神経の無い人、神経の太い人(2) ナシオさんの挫折

【ナシオさんの挫折】


前回の続きです。
神経の無い人と神経の太い人。

ブログの皆さんの周囲にもいる突き抜けたパワーの持ち主たちには2つのパターンがありますが…



破竹の勢いで業績を出しまくるナシオさんでしたが、ある日、転機が訪れます。
突然、異動を申し渡せれました。
人事部の教育グループで新人を営業研修しろというもの。
会社側はナシオさんのハイパフォーマーとしての将来も考えて、前向きな異動を申し渡したつもりでした。
ところが、ナシオさんにその真意は伝わらず、「営業ラインから外された」と考えたナシオさんは転職を決意します。



転職先は中規模なネット系企業。
将来、上場する、ストックオプションがもらえる、というのが魅力でした。
転職先企業もナシオさんの前職でのパフォーマンスを評価して、前職での年収を保証してくれました。
仕事はナシオさんの得意な営業です。
ただ売るものが違うだけということで、ナシオさんには業績を上げる自信がありました。



ところが、新天地で営業を開始して間もなく、ナシオさんはどうも勝手が違うことに気付きます。
業績がなかなか上がらないのです。
上司からは「もっと顧客からしっかりとニーズをヒアリングして来い」といわれます。
新しい会社は、中小企業にインターネットを活用したソリューションを柔軟に提供するのが売り。
逆に言えば、はっきりとした商材は無く、企業のニーズに合わせてカスタマイズして提供します。
ナシオさんは何でも売る自信があるのですが、売るものから考えなくてはいけない今の仕事に戸惑いがありました。



そこで、上司に相談すると、
「確かに、いきなりソリューション型での提案営業は難しいだろう。
まずは、売りやすい広告商材をパッケージ提案したらいい。」
とアドバイスを受けました。

そこで、商品開発チームの同僚に手伝ってもらいパッケージ型の広告商材の提案書を作りました。

「さあ、これで売れるぞ」と意気込むナシオさん。
早速、それなりにリレーションのある中小企業経営者から契約を獲得。
喜び勇んで、会社に帰り、商品開発チームの同僚に受注を報告すると、

「受注する前に、枠を押さえてもらわないと困るよー。
提案書に書いてあることは、あくまで”例”なんだから」と注意されます。
『せっかく売ってきたのに…』ナシオさんはがっかり。



新しい会社では、商品開発チームがあらゆるソリューションサービスを統制しているため、
営業は社内をしっかりと調整して、顧客に対してサービスを提供する必要があります。
したがって、多くの営業がニーズに適した商品開発チームのメンバーを同行して提案するのが通常です。
また、具体的な商談からサービス提供フェーズに入ると上手に商品開発チームにバトンタッチする必要があるのです。


ナシオさんの以前の会社では、顧客から注文を取ってきたら、バックオフィスと呼ばれる事務スタッフに
伝票を渡すだけでOKでした。
ところが、新しい会社では、イチイチ受注前から社内をネゴしたり、商品開発チームに同行をお願いしたり、
調整しなければならないことばかりです。

遂に、ある日、商品開発チームでエースといわれる、ナシオさんよりも年齢の若いメンバーに
「ナシオさんはビジネスパースンとしての基本的な動作ができていませんよ」などといわれ、
ナシオさんは完全に切れてしまいました。
「てめえみたいな頭でっかちな野郎に営業がわかってたまるか!」と言い捨てて、その場を立ち去りました。


怒り

その翌日、上司からまたもや注意が入りました。
君はチームプレーということをわかっていないね。
ウチの会社の営業は上手に商品開発チームとコーワークしないと業績を上げられないんだよ。」

「そもそも、日ごろから良いコミュニケーションが取れていないから、
基本的な動作ができていないという様な指摘を受けるんだ。」





そんなある日、営業グループの同僚から
「ナシオさん、今月が誕生日だよね。
来週金曜日に誕生会を開くから楽しみにしていてね。」
と言われました。

どうやら、この会社では同じ部署内で誕生日の人がいると、
その部署全員で誕生日を祝ってあげる習慣があるようなのです。

ナシオさんは内心、気が滅入りました。
『何で会社の連中に誕生会なんてやってもらわなきゃいけないんだ…。
うまいこと口実を作って誕生会をキャンセルしよう。』





事前に誕生会に出られないと言うわけにはいかず、
誕生会当日、ギリギリになって、急遽顧客から呼び出しがかかったという口実を作って、
誕生会出席から逃れました。

その翌日、同じ部署の同僚たちの雰囲気が芳しくありません。
何と、全同僚たちがプレゼントを用意して待っていたというのです。
更に、ナシオさんの誕生会を聞きつけて、社長もやってきたというではありませんか。
ナシオさんは言葉を失いました。




ナシオさんの仕事はなかなかうまくいきません。
何より、組織に馴染めない感覚が日に日に強まっていきます。

そんな中、極めつけの出来事が起きたのです。


ある朝、朝礼で上司が
「今週から評価ミーティングを開始する」という話をしました。

『評価ミーティング?』
ナシオさんにとって聞きなれない内容です。
『評価結果を告げられる会議だろうか?』




そして、スタートした評価ミーティングには、何と部署全員が一堂に会しているのです。
何と、この会社では「完全360度評価」ということで、評価対象者の上司、同僚、部下が集まって、
評価対象者に、課題や問題点を指摘するという、恐ろしい評価システムが動いていたのです。

しかも、評価対象者の一人目はナシオさんでした。
まず、口火を切ったのは、営業部の庶務を担当する女性でした。
「ナシオさんは、周囲の同僚に対する配慮や気配りが足らないと思います。」
その後、約1時間、ひたすらチームプレーができないとか、顧客視点での提案が出来ていないとか…
散々な評価を浴びせられ、神経の無いナシオさんもさすがに落ち込みました。



「こういう評価だから、すぐに給与が下がるわけじゃないから」
という上司からの慰めにならない慰めを受けて、
ナシオさんは再度、転職を考え始めたのでした…。




そうです。
ナシオさんの悲劇は、神経の無いタイプなのに、

有機的なタイプの会社に入ってしまったことから始まったのです。


次回、こうした悲劇を起こさぬための秘訣などを解説したいと思います。

(だんだん、書くことが負担になってきました…)