小説を読んでいたら宮沢賢治の詩が引用されていた。それがものすごく良かったから僕も引用する。

その詩は「生徒諸君に寄せる」というもので母校の校友会雑誌に書いたものであるようだ。


「生徒諸君に寄せる」

諸君よ紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか

じつに諸君はその地平線に於る
あらゆる形の山岳でなければならぬ

諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか
それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である

諸君はその時代に強いられて率いられて
奴隷のように忍従することを欲するか
むしろ諸君よさらにあらたな正しい時代をつくれ

宙宇は絶えずわれらに依って変化する
潮汐や風
あらゆる自然の力を用い尽くすことから一足進んで
諸君は新たな自然を形成するのに努めなければならぬ

新しい時代のコペルニクスよ
あまりの重苦しい重力の法則から
この銀河系統を解き放て
新たな時代のマルクスよ
これらの盲目な衝動から動く世界を
素晴らしく美しい構成に変えよ

新しい時代のダーウィンよ
更に東洋風静観のキャレンジャーに載って
銀河系空間の外にも至って
更にも透明に深く正しい地史と
増訂された生物学をわれらに示せ
衝動のようにさえ行われる
すべての農業労働を
冷たく透明な解析によって

その藍いろの影といっしょに
舞踏の範囲に高めよ

新たな詩人よ
嵐から雪から光から
新たな透明なエネルギーを得て
人と地球にとるべき形を暗示せよ



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