新緑の候、青葉が目にしみ、街路樹が、山々が青々として美しいですね。
青葉、青々、、緑色を表すのに日本語では青を使う表現が実に多いことに気づきます。
少し前にイギリスの方に
「どうして日本人は信号の緑色を青というのか?あれはどう見ても緑だ!」
と聞かれて困りました。
他にも青菜、青りんご、青虫、青蛙、どうみても緑色なのに青が用いられています。
逆に緑色が使われている言葉には「緑の黒髪」とか「嬰児」など実際は緑色ではないものに使われているのも面白いですね。 (この場合は緑色のように瑞々しいとか新芽のように若々しいという意味合いを持つそうです。)
少し調べてみますと、日本語の色の名前は、古くは「明るい」「暗い」に対応する「アカ」「クロ」と「淡い」「しるし」を意味する「アオ」「シロ」のみで「ミドリ」はそのもっと後でできた言葉であり、それまでは「アオ」がカバーしていたのだそうです。
色の名詞形を形容詞にそのまま変化させられるのが「赤い」「黒い」「青い」「白い」の4つだけというのも何か関連があるのでしょうか。
そんな由来で緑を表現するのに未だに青が用いられているようです。
色の表現一つを取っても、その国の感性や歴史が伺えるのが興味深いです。
日本においては「緑」はやはり新鮮とか若々しいとか癒しとか平和とかそういった穏やかなイメージを持つようですが、欧米には「嫉妬」という穏やかならざるイメージもあるようです。
英語 be green with envy
フランス語 être vert de jalousie
イタリア語 essere verde d'invidia
ドイツ語 vor Neid grün werden
オランダ語 groen zien van afgunst
これらは全て嫉妬しているという表現に緑が使われています。
緑色が血の気がひいて顔色が悪いことを意味することから生まれた表現だそうです。
また「green」は「未熟な」という意味ももっていて
greenhorn で「初心者」「世間知らず」。
それを示す日本語は「青二才」、
とまたここで「青」の表現が出てきました。
便利に使われる「青」ですが、なかなかの優れもの。
時に、色のないものに添えて彩りを与えます。
「風青し」
新緑を吹き抜ける初夏の風がさわやかに感じられる良い季節になりましたね。