心地良い風になびくシーツ。
ふらり、ふわりと軽やかに舞う白いシーツ。
素直な気持ちで、そんな事を感じる日が来るなんて。
今まで思いも、よらない事だった。体中泥だらけで
ズボンの裾には、自分のだろうか誰のだろうか
分からない赤い液体で汚れていた。
勝つ事だけが、生き延びる手段。
ゲームの中だけ戦いが、実際に目の前で起こっていた
時代。
みんな目を濁らせ、今日とも明日とも分からない
恐怖に怯え、心の隙間を埋める為に銃を握りしめ。
そんな時代を、生き延びた私が、今はのんびりと
ゆったりと、穏やかに。
平和、平和と騒ぎ立て人を傷つける者。
不幸、不幸と投げ掛けて同じ境遇に引きずる者。
毎日、ニュースで流れる忌々しい出来事。
シーツを、なびかせる清らかな風。
それと裏腹に、何も変わっていない痛ましさが
寝転んでいる世の中。
勝利だけを信じていた、あの時代。
今も、あの時代から何も変わってはいない。