算数の勉強というと、どうしても量が正義となってしまいがちです。
大量のドリル、大量の基本問題。
まあ、これはできるでしょう。
そして、大量の応用問題。
これはパターン化ができていて初めてこなせます。
いずれも、考える勉強には役に立たないどころか、弊害でしかありません。
計算はやる以上は、一問一問について、捌き方を考えて欲しいところですが、大量にこなせば、こなすだけが目的になってしまいます。
基本は仕組みがわかるまでやれば、あとは作業でしかありません。作業に思考力向上は期待できません。
応用問題は、一問に時間をかけて欲しいところです。そうなると、たくさんこなす時間は取れないはずです。パターン化してやるのであれば、こなしていけますが、そんな局地的にしか役に立たないパターンを覚えることにあまり意味はありません。
ドリルは1日10問、習った単元の基本問題のあと、塾教材にある応用問題を何日かにわけて取り組む。これで算数の足腰は鍛えることができます。考える暇があること、考えて乗り越えられる内容であることを意識して取り組むことが肝要です。
非受験学年であれば、早くこなせたなら、浮いた時間はテレビでも見ればいいと思います。早くこなしたいモチベーションにもなりますし、ダラダラ長くやるのは、やってる感が目的の意味の乏しい勉強になりがちです。
プラスアルファとして、役立つテクニックで差を付けたいと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
業界あるあるですが、数学にある観念を下ろしてきて、これを覚えなきゃ、と言う人はよくいます。
まあ、大抵の業界の人は営業ツールとして役に立つものだから言うのですが、真に受ける方が多いのもまた事実です。
確かにコンビネーションの計算や、不定方程式改めいもづる算などのように一部算数化されているテクニックは存在しますし、そうしたものは知っておいた方が良いでしょう。
しかし、学校は算数化されていない数学テクニックを知らなきゃ解けない問題は出しません。また、そういうテクニックで固められた生徒は、びっくりするくらい思考力がなかったりします。知らなきゃ工夫するのが人ですが、テクニックがあると思えば、あとでそのテクニックを知ればいいやになるからです。
昔、ご家庭からの希望と教室からの指示で、受験生の生徒に方程式を教えたことがあります。まあ、いたずらに時間を取られただけの大失敗でした。慌てて文章題を教え直した記憶があります。
算数の問題は、なんだかんだで算数で考えるのが早道だし、出題者の先生もそこは弁えておられるので、数学に親和性は高くとも、方程式やら数学でやるにはいろいろ無理や不合理のある問題が出されます。
学校が求めているのは、知っている生徒でなく、考えることができる生徒なのです。知っている生徒に伸び代はない以上、進学実績を残す必要のある学校は、伸び代豊かな、知らないながらも思考力で乗り切ってきた生徒を求めます。
学校側のニーズも踏まえれば、考えることができる、ということをゴールに見据えた勉強を心掛けられることが、合格の秘訣なのです。