第131話:変化するメニューの作成 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田が研修で留守の間、部下の前田は
あるお店の成功事例を取材しに来て
店長の峰岸に話を聞いていました。


第131話:変化するメニューの作成

峰岸店長は前田に、

「原価からメニューを組み立てる」
と言う方法を説明しました。

次に話したのは、

「変化するメニューの作成」
お店を飽きさせないポイントだと
言います。

前田
「変化すると言う事は定期的に
メニューを変更するって事ですか?」


峰岸店長
「メニュー変更には色々ありますが

グランドメニューと言われる
固定の主力メニューが載っている
メニュー表は普通なら年に4回くらい
季節ごとに変更していくのが
負担が少なくて変化が楽しめる
変更回数だと思います」


「そうですね、
余り気にしていませんでしたが

そう言われると
そうなのかもしれませんね」


峰岸店長が言うグランドメニューは
お店のコンセプトを反映した
開業時に組み立てたプラン通りの
商品構成です。

この主力商品メニューを季節毎で
コンセプトがブレ無いように変更を
加えて行きます。


峰岸店長
「メニューの変更は
グランドメニューだけではなく
毎日のオススメや旬の限定商品も
どんどん変化していきます。」

峰岸店長が言うのは、
「季節ごとのメニュー変更」ではなく
お薦め料理・本日のお薦め等の様に
もっと短いスパンで変化する
スポット商品です。

前田
「ああ、ありますね。
季節のオススメとか今日の一品とか

次にお店に行くと無くなる
メニューですね」

オススメ料理

このような、
次に来店すると無くなるメニューが
非常に重要です。

人は自分の好みの味があるので
決まった物を好むんですが
本当に全く同じ味のものばかり
食べていると飽きてしまいます。

毎回同じだと思って食べている物でも
実は微妙に味が変わっていたり、
食間に間食して舌が変わっていたり
するもの
なのです。

カレーが大好きな人も
3食カレーを食べるより

朝カレー食べて、昼ラーメン食べて
夜カレー食べるという様な
間に「ラーメン」が入る事で
夜のカレーがより楽しめるのです。

お店のメニューを変化させる事は、
「お客様を飽きさせない」と言う事が
目的なのです。

飽きさせないと言う事は、
「また来たい、また食べたい」
思わせる事になります。

それは来店頻度や固定客化に繋がり
お店の常連客を囲い込む手段と
なっていくのです。

小規模店舗と大きな店舗では
メニュー数もメニュー変更も
誤差があります。

小規模店舗でも品数60品~80品は
固定で置いておきたい所です。

「牛丼屋」の様に超限定特化型の
飲食店でも40品以上はメニューが
置いてあるはずです。

細かく考えると組み合わせでも
バリエーションは出来ます。

大きな居酒屋チェーンなどでは
品揃えもウリの一つなので
200品くらい揃えているお店も
ありますし

ドリンクメニューだけで
100種類以上のメニューを
用意しているお店もあります。

コストや管理も大変ですが
それが出来る体制を整えていると
言う事です。

個人経営の様な小規模店舗でも
「今日のオススメ」と言う形で
ボードやPOP看板、お品書きをしている
居酒屋などあると思います。

鮮魚など旬ものや
運よく入荷出来たネタは
オススメに書いてアピールすると
お客様にも喜ばれます。

野菜でも創作料理でも季節ものや
期間限定でオススメしていけば
お客様を飽きさせることなく
楽しんで貰えます。

問題があるとすれば、
お薦め料理とか日替わり料理と
POPや別紙に書いていて
ずっと変化しない事です。

店主が面倒なのか、
お客様が毎日お店に来ないからなのか
変化が見えないお店もあるのです。

それならマイナスイメージなので
お薦め料理をやらない方が
良いでしょう。


前田
「飽きさせない事って
意外と大事な事なんですね」


峰岸店長
「そうですね。
メニューにはお店や店主、料理人の
意志が入っています。

メニューの変更や価格設定一つでも
利益やお店のコンセプト、集客に
繋がる目的があるのが
理解してもらえたでしょうか?」


「はい。

実はお店からのお客様への
メッセージがあるって解りました。

うちの店はこの価格帯です。
うちの店はこの料理が看板料理です。

と言う風に接客以外でも
伝えるし、

利益やバランスを考えて
構成されてるって事もすごく
勉強になりました」



前田は今回峰岸店長のもとに
研修に来てみて今まで知らなかった
メニュー構成の秘密や
メニューの作り方を学びました。

峰岸店長がお店の業績を
回復させた「メニュー変更」の方法で

1お店のジャンルを専門店にする。
2看板料理(その店だけの)を作る。
3売れ筋商品の特化
4売れ筋商品の販売促進
5中心価格の設定
6価格帯や平均単価の明確さ
7変化するメニューの作成


というポイントを学び、
しっかりと利益の取れるポイントも
組み込んで

お客様の満足度を高めながら
お店の存続や業績を伸ばす手法を
学んできました。

他にもメニューで儲けを出す方法や
原価率の数値計算の話も聞きましたが
後でレポートにまとめる事で
上司の本田に報告する事にしました。

これで今回の研修も終了となり、
前田は自社に戻りメニューについての
レポートを作成しました。

そして、

前田の作成したレポートが
自社事業部のメニュー作成時の
マニュアルに組み込まれる事に
なったのは

もう少し後の話だったのでした。


つづく