本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田が研修で留守の間、部下の前田は
あるお店の成功事例を取材しに来て
店長の峰岸に話を聞いていました。
第130話:お客様から人気を取れるポイント
峰岸店長は飲食店のメニュー構成の
例を挙げて話を進めていました。
その中で原価からメニュー価格を
設定する方法を前田に説明を
始めて行きました。
峰岸店長
「前田さん、
メニューの価格設定方法には
食材の原価から割り出す方法も
あるんですよ」
前田
「食材原価から割り出すと言う事は
利益をいくら取るか考えると言う事
ですよね?」
「そうです、ですが利益だけでなく
その食材を購入するコストや
調理を行う上で経費以外にかかる
食材費が含まれて計算され、
お店の利益計算の目標数値に
合わせて設定されるんですよ」
「???
…言ってる意味が解りません」
「この表を見て下さい。
これは商品の販売価格を構成する
要素を3つに分けて表しています」

「この様に原価とは商品の売価の中で
実際に掛った費用の事を言います」
「そこまでは理解できます」
「お店の利益計算の目標数値は
原価の設定に大きく影響します」
「どういう事でしょうか」
「例えば、
100万円の売上のお店で
人件費が30万円、全ての経費が
40万円かかるお店だとすれば
残ったお金は30万になります」
「はい」
「その30万の中から利益を
いくら取るかで原価も変わって
きますよね」
「利益が20万欲しいなら
原価を10万に設定する必要があると
言う事でしょうか」
「簡単に言うとその通りなのですが、
現実的に実現可能な数値にしなくては
満足度や作業コスト面で合いません」
「では実際にはどうやって計算して
いくんでしょうか?」
「簡単な例で言うと、
まず商品を開発します。
↓
実際の食材費用を計算します。
(食材原価)
↓
その商品を販売するのに人件費や
お店の経費がいくら掛るかを計算
(経費計算)
↓
最低限必要なプラスマイナスが
ゼロになる金額を割り出します
(損益分岐点)」
「この価格で売れば利益がゼロと
言う事ですよね?」
「そうです。
いくら利益を取れるかを考えて
そこから利益分を含めて価格設定して
行くのです」
「なるほど、自分が欲しい利益を
設定できると言う事ですね」
「でも、この方法は商品が売れると
仮定しているだけの計算なので
利益を取ろうと欲張って
上乗せし過ぎると
当然商品の価格が上がってしまい
お客さまから人気は得られなくなり
売上は満足に上がらなくなります」
「そうですよね。
実際に人気商品にしようと思ったら
競合と照らし合わせて
利益の取れる範囲の価格で
悩まないといけませんよね」
「前田さんが言うように、
欲しい利益と価格の範囲が決まると
競合と比べる事が出来ます」
「と言うと?」
「競合店の同系列の商品が自店と
同じ価格帯なのか、
自店の商品は競合店の品質に勝って
いるのか、
競合店のコストと比べて自店は
経費や原価が掛り過ぎていないか?
と言う事です」
「なるほど、
メニューが出来て価格設定まで
出来たら
実際に他のお店と
比べてみて検証するんですね」
「そこで品質や価格で勝つか
コスト面で勝てないと厳しい勝負に
なると言う事が予想できるのです」
「漠然と作って比べても
味ぐらいしか比べませんし
良く解らないですもんね」
「大手企業が老舗の料理店に
対抗するには味では叶わない部分が
あるでしょう?」
「そうですね」
「だから、
費用や価格といったコスト面で
勝っている部分を調査し、
お客様から人気を取れるポイントを
探り当てて勝負しているんですよ」
「勝てるポイントを商品開発や
価格設定でも見つけて行くんですね」
「では人気が出るメニュー構成の
最後のポイントを説明していきます」
そう言うと峰岸店長は、
メニューの変化について話を
始めて行きました。
つづく