本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田たちは新事業の為に倉持部長から
リスクマネジメントの講義を受けて
いました。
第116話:命を守るあらゆる食品管理
倉持は本田承太郎と前田に、
食の安全について話し、
次に衛生管理と食中毒についての
基礎知識を説明し始めました。
衛生管理とは、
「お客様の命を守るあらゆる食品管理」
の事を言います。
倉持
「食品を取り扱う全ての従事者は
衛生管理をおろそかにしてはいけない
重大な問題です」
倉持は、まず衛生管理においての
重要な問題として人命に関わる
食中毒について話しました。
倉持は食品の安全の為に食中毒の
原則をこの様に説明します。
・菌の付着を抑える事
・菌の増殖を防ぐ事
・菌を殺菌する事
基本的にはこの行動の繰り返し
となります。
食中毒と言うのは人が食べ物を
口にして感染したり、
感染した人からの飛沫感染や
菌の付いた手で触れた物からの
媒体感染が事例として挙がります。
食中毒は基本的に不衛生な環境で
管理された食品から発生して
飲食物に付着し人に感染します。
それを防ぐために衛生管理で
その予防を行う事を目指すのです。
飲食業では無い人なら衛生管理と
一口に言ってもあまり印象が
無いかもしれませんが
細かく知識を学ぶとその恐ろしさは
いつでも危険が身近にある事を
思い知らされる事になります。
倉持
「前田さん、
なぜこの原則が必要なのか
解りますか?」
前田
「それはモチロンお客様を菌に
感染させない為ですよね?」
「リスクマネジメントの考えでは
想定して未然に防ぐ事を主に
考えると話しましたね?」
「菌が発生する事を想定して考える
という事でしょうか」
「そうね。
どういう条件で菌が発生して、
どういう条件で増殖していくのか
考えてみましょう」
食中毒の発生条件を想定した場合、
菌の付いた物から感染するとすれば
予想できるのは直接食べ物に触れる
「手や包丁・まな板」が
主にその対象と言えます。
前田
「なるほど、
でも菌が増える条件とかは解らない
んですけど…」
ここで倉持はこの様な図を前田に
見せて説明しました。
食中毒は条件が揃うと爆発的に
増殖してしまうという事が言えます。
その条件を表したのがこの表で、
この4つの条件を揃えさせないという
取り組みが衛生管理に当たると
倉持は言います。
食中毒が増殖する条件とは
水(水分)、温度、栄養分が
合わさる事で飛躍的に成長して
いきます。
植物を育てる時にも同じ条件で
ぐんぐん成長するのが解る通り
菌も生き物なのでこの条件を
揃えさせない事が目的となるのです。
更に言うと「時間」もその条件に
加わりますので時間が経過すれば
それだけ菌も増えて行く事に
なってしまうのです。
「なるほど、食中毒を防ぐためには
繁殖や付着の原因を特定して
予防すると言う事なんですね」
「そう言う事です、
例え菌が付着しても条件が
揃わないと繁殖しない菌もあるので
普段の生活で食中毒に感染する人が
急に大きく増えないのも自然と
条件に合わない事が考えられます」
「普段の生活では勝手に予防が
出来ている場合もあると言う事
なのでしょうか」
「でも、飲食店で普段の生活の様に
何も考えず営業をすると食中毒に
感染する人も中には出てきます」
本田
「一人でも食中毒が明確に出たら
営業停止になりますしね」
体内に食中毒菌が侵入しても
発病しない場合もあります。
その時の体調や抵抗力、菌の
量にもよってその度合いも変わって
行く事でしょう。
しかし、
食中毒に感染した事がある人なら
その辛さは二度と経験したくない
体験だと思います。
それによって命を奪われる事例も
ある事から普段の生活では特に
気にしなくても人に提供する立場と
なった場合は厳重に注意が必要と
なる問題なのです。
倉持は次に、
菌の付着・菌の増殖・菌の殺菌
についての具体的な説明を
始めました。
つづく
- 食中毒の科学 あなたを守る知識ワクチン

- ¥1,575
- 楽天
