第94話:アンケートが信用出来ない理由 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と部下の前田は居酒屋の店長
松井に売り上げを伸ばした法人営業の
手法を教えて貰いに来ていました。

第94話:アンケートが信用出来ない理由

松井店長はお客様からの要望に
応え過ぎるのは危険だと言います。

商売では、
お客様からの要望と言うのは
主観が入る事がほとんどです。


普段自分たちも購入する商品や
サービスにおいて、

「もっとこうあって欲しい・・・」
「もっとこうして欲しい・・・」
「もっと客の立場になって欲しい」

という要望があると思います。

そこでは販売者や会社の都合などは
考える事が無いでしょう。


でも、
本当に全部要望に応えてしまうと
本筋から外れる恐れがあるのです。


よくTV等で見かける飲食店で、
お客様の要望に何でも応えるのが
自分の店の主義だと言って、

要望にあったメニューをどんどん
追加して膨大なメニュー数と
膨大な準備、仕込み作業、在庫を
課せられる事となって

朝から晩まで働き尽さないと
お店が回らないという店が
紹介されていました。


他には、
お客様の要望に応えるあまり、
料金をどんどん下げて一皿100円で
全ての料理が食べられるお店を
営業する事になり、結局は

食材を冷凍食品で大量購入したり
人件費を浮かせる為に家族総出で
労働力として使ったりしている
お店もありました。

実は、良くある光景です。

でもこれは良くありません。

そもそもお店を作る時の
コンセプトと言うものがあるはず
なので、

あまりお客様の意見を取り入れ
過ぎるとブレる原因となります。

お客様の意見を取り入れる事は
重要なマーケティングだと
思いますが安易に使えるものでは
無い事を知らなければなりません。

よく飲食店でアンケートを書く
用紙が置いてあるお店が
一昔前は多くありました。

みんな次第にそれが無駄だと
気付き始めたのでしょう。

実際、アンケートに書く内容は
誰でも安易な意見や勝手な要望が
書いてある事が非常に多いのです。


「アンケートは信用するな」

松井店長にコンサルティングの
先生が教えてくれた事でした。

信用できない点は

3拓や5拓の
「良い・ふつう・悪い」から
選んでマルするタイプのものや
誘導的な文章だと
実際の所が解らないという点です。

Q料理の価格はいかがですか?

という質問があるとしましょう。

この問いに、「値段が高い」と
書かれていました。


これを見てどう解釈すれば
いいのでしょうか?



実際の価格が高すぎるのか、
お客様に対するサービスや接客、
提供時間の遅れから
そう感じさせてしまったのか、
味の価値観なのかは
これだけの文章から果たして
読みとれるのでしょうか?


Q味はいかがでしたか?
の問いに

「美味しかった」と書かれていて
本当に満足したと思いますか?

そもそもお店に対する期待値が
無いのか、愛想で言っているのか

本当に満足した時だけ
満足だったと書く人なのかも

さっぱり解らないのが
普通じゃないでしょうか。


つまり、
アンケートは信用出来ないと
言う事なのです。


だから最近では、
飲食店でアンケートが
置いてある場合何か別の目的に
使われると思えます。

もし、本当にアンケートを
信用してお店を改善させようと
思っている店主がいたら

それはチョットお勧めできません。

ある飲食店でメニュー要望の
アンケートを取っていて、

店長はその結果通りに要望に
応えました。


そのお店は普段のメニュー品目を
もっと増やして欲しいという
お客様の要望を聞いた事で

通常メニューが100種類だった物を
180種類まで増やしたそうです。

お客様は当然、
喜んで注文するのですが問題は、
経営的にどうかという事です。

メニュー数を増やした事で食材の
在庫を抱える為のストッカーや
冷蔵庫などは新たな
出費となりました。

オーダーも複雑になった事で
準備にかなり時間が掛って
労働力を増やすことにもつながり、
人件費もアップしたのです。

更に、売れない商品も出てきて
在庫ロスや過在庫も増え、

経営的に赤字となって
しまったのです。

経営者は一見、
メニューを増やしてお客様が
増えれば人件費も増やせて
問題無いだろうという
考えだったのですが

作業コストを読み間違えた事で
従業員は疲れただけ、
在庫を抱えて作業を増やしただけ
不満と疲労が残る結果と
なってしまったのでした。

実際、作業コストを読むのは
現場の人間が検証して
リサーチしないと解りません。

しかも、
お店を立ち上げた時に
人件費の掛らないように
作業コストを抑えてメニューを
組んでいる為、

それを増やしてしまっては
本末転倒なのです。


松井店長は法人営業で
お客様と距離を縮めると要望や
意見も多く聞くようになると
言います。

その際に、
その要望を安易に聞くと
この様に損失を出して
しまうかもしれないのです。

せっかく法人営業で売上UPを
目指しているのにそれが
損失になってしまっては

それこそ本末転倒なのです。

売上高だけに目を向けず、
作業コストを読み間違えない
という事が重要だと

松井店長は教えてくれました。


つづく

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