前回までのあらすじ:
藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で働くサラリーマン。
本田は以前出会った加地店長に
飲食店のメニュー表示の裏事情を聞いていました。
第61話:食品偽装の原因
食品偽装の件に詳しい加地店長の話を聞くうちに
本田承太郎は以前に起きたニュースを思い出していました。
そして、こうも思っていました。
たまにニュースで見ることはあっても
偽装なんて希なケースだと思っていた・・
しかし、ちゃんと思い返すと
実際には毎年のように大きな事件は起きていて
年々多発しているようにも感じてきたのです。
大きな事件で言うと逮捕者も出た雪印の
牛肉事件や牛乳偽装問題。
他にも日本食品・日本ハム・ハンナン
不二家・ミートホープ・赤福など
有名企業だとインパクトと同時に
ずっとイメージに残っています。
ファーストフードは問題の宝庫ですが
ミスドやマクドも当然のように
問題発覚がありました。
最近はバイトテロで話題のローソンも
昔は消費期限切れを売っていましたけど
なんだか忘れてしまうものです。
ここ最近の食品偽装で大きく社会問題に
なってきているのですから
記憶から忘れてしまう前に
ちゃんと修正できるように改革して欲しいものです。
それではなぜ、長年何度も繰り返されて
こういった問題が起こっているのでしょうか?
これから、飲食店を開業しようと考えている人や
今、飲食店を経営している人は
このような愚行を犯さないためにも
しっかりと考えておきたい話です。
まず、
原因として考えられるのは様々あります。
1)大手企業にありがちなケース
利益至上主義の人間や組織の圧力と言う様な
自分を取り巻く関係性によるもの。
例:企業が吸収や合併された時に改善点が
見つかる事もあるが利益マイナスに繋がるので
誰も言い出さない・言わせない。
問題は、
まず利益優先というスタンスなので
不利益になる事の問題に対して対策するあまり、
消費者に対する問題意識の度合いが明らかにが薄い。
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2)一部の上層部で工作するケース
クレームやイメージ低下を避ける為の隠蔽気質。
例:利益ノルマを達成させるため
偽装による経費削減や売上UPの為の誇大広告や
メニュー表記・食材工作を犯してしまう。
問題は
経営陣の利益の求め方や偽装に走るまでの経緯で
それを避ける為のリスク管理ができていない事。
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3)企業イメージ優先のケース
融通の効かない特殊なルール作り。
誤表記や記載ミス等で全回収後廃棄処分して
食べられるものを大量に捨ててしまう。
問題は
企業のイメージや誠意は大事だが根本的に
食材を無駄にしている事を理解していない事。
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4)複雑なシステムやルートのケース
気持ちが入らない中間介入や管理者不介入。
汚染米事件の様に中間業者が入り過ぎる場合など
販売者とお客様に距離があり過ぎる場合
商品を取り扱う者に気持ちが入らない。
問題は
消費者への気持ちが無いので取り扱いが雑になる。
経営者がお客様を見ていないので仲介業者も
お客様を意識していない。
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5)食中毒や事件になるケース
もったいない意識を拭いきれないリスク。
食材のムダを出来るだけ無くすために
衛生面で不安がある食材の殺菌や品質管理に
不安が生じる。内臓系など
問題は
食材を無駄にさせない為に勝手な判断で
期限切れの食材を流用したり改ざんしたりする。
安全性よりも勿体なさを優先している点。
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6)最低で後味が悪いケース
モラルや人間性自体が低下。
サービス業としての資格がない。
詐欺事件や食品偽装をしておいて
経営陣が隠蔽して記者会見している様子。
お客様の食べた商品の残り物を
使い回し利用するなどの行為。
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このように過去実際に起きた事件として
本田承太郎に加地店長は話しました。
どの事件がどれに当たるかは言いませんが
有名料亭の事件などは記憶にあるのでは無いでしょうか。
このように泥沼化して廃業に追い込まれたり、
後で発覚して逮捕者が出るよりはマシですし、
最近の不正発覚後の発表は早くなったと思います。
でも責任の所在が甘いので
保身にしか見えませんし
あまり意味がないのかもしれません。
楽をして稼げる職業ではないという事は
開業する前から本気で考えなくてはならないし
誠意を持って取り組まないと
己だけではなく
消費者であるお客様も不幸にする結果になる恐れがある事を
経営者は常に忘れてはいけないのです。
本田承太郎は
今回確かに気分が悪くなりましたが
加地店長に詳しく話が聞けて良かったと思いました。
そこまで飲食業界の裏事情には
詳しくありませんでしたが
このような事例が多発している事を考えると
お店の組立にも色々なリスクがあることが
少しずつ見えてきた話でした。
つづく