新しく始めるプロジェクトの責任者である本田は、
同僚で友人の片岡に会い協力の約束を得て本社に戻るのですが
戻った部所内では新たな問題が発生していました。
第12話:モチベーション3.0
本田承太郎の所属する部署では先日部長職に新しく就いた藤森部長の決定により
部署内の職場異動が告げられ混乱が生じていました。
会社の決定事項というものは
簡単には覆せないものなので本田は部下たちに
「自分に今まで無かった新しいことを学べ」と
声をかけていました。
しかし、研修から戻って目の当たりにしたのは
その部下たちの意識が著しく低下してやる気が無くなっていたのです。
簡単な計算ミス、報告ミス、が多発し全体に覇気がありません。
どうしてこうなってしまったのでしょうか。
本来仕事のモチベーションはプロであれば
自分でコントロールしなくてはなりませんが
社会というものは厳しくなかなかそううまくいきません。
仕事に限らずやる気を発生させる要因として挙げられるのが
生理的要因・外的要因・内的要因と分かれています。
会社や組織の上司とは部下の育成が仕事になるので
いかにこの動機付けを行っていくかが課題になってきます。
生理的要因とは具体的に言うとお金や食事、生活を守るための
給与所得、奥さんに逃げられない為や会社自体を存続させるためなどがあります。
外的要因は上司が怖い、怒られる、仕事上の命令、罰則、罰金、
報奨金、賞金、社則、ノルマ、強制的なものが挙げられます。
内的要因は達成感、目的意識、夢、キャリアアップ、非金銭的報酬、
自己成長などがあります。
このように分類すると判別しやすいと思いますが
自分がどの要因で仕事・作業を行っているか解るでしょうか?
誰かが言っていました。
モチベーションを3段階に分けるとすれば
第1段階が生理的要因
第2段階が外的要因
第3段階が内的要因
という事になります。
日本では「アメとムチをうまく使う」なんて事がよく言われていました。
厳しい上司がたまに優しく声をかけてくれる、
この部長は厳しいが次長は優しい、
監督は優しいがコーチは厳しい。
古くから使われる教育テクニックとされています。
今の時代ではこの手法ではもう古く、
本来のやる気というものは引き出せなくなっている事に
企業の管理職やオーナーが気づかない、勉強していないので解らない
という事態が起こっています。
確かに不景気な世の中現状の利益もシビアな局面の中
不確かなモノに対する勉強をする時間などなかなか取れないのかもしれません。
そのツケが今起こっていて、
アルバイトがツイッターで不適切写真を公開したり、
空港スタッフが芸能人のプライバシー侵害する写真を公開したりする
情けない話がニュースを賑わすようになりました。
モチベーションの低下はモラルや、社則、規律を低下させ
最悪組織を崩壊させる力を持っています。
特にアメとムチをずっと使っていた管理職などは
効果に自惚れてこれが正しいと思い込み他の情報が
入りにくくなってしまっています。
効果があるのは仕事に対して意義を見つけられない人や、
入社したばかりの新入社員などには一定の効果は見られるかもしれませんが
慣れてくると逆に反発してしまうケースも多いことが例にあがっています。
部下が上司に反抗するのではなく、
上司の態度に嫌気がさしてやる気が減退していくという現象です。
なぜそうなるのかというと、
上司が厳しく、たまにアメをくれるような場合は
「アメとムチでしか動かない人間だと自分は評価されている」と
自分の存在を過小評価されていると思い、
上司の見る目の無さを嘆いてやる気を失ってしまったりするのです。
これは一つの例に過ぎませんが
同じような事がいろいろな状況で起こり得るのです。
やる気を失うだけならまだしも、無意味な反抗や
会社にとって不利益な行動をとってしまう者もいるかもしれません。
本田承太郎は研修から帰ってきて一瞬で今の状況を感じ取り、
このような危機感を感じていたのでした。
これから事業を進めていくに当たり急務なのは原因の究明と
モチベーションのUPなのは明白で早速取り掛からなければなりません。
まず始めに本田は問題が指摘されている
女性社員と面談したのですが、彼女の性格は明るく
性格とは裏腹に仕事に真面目でコツコツと業務を安定してこなしてくれる
会社にとってありがたい人材でした。
しかし、以前面談した彼女からは想像できない意識へと変わっていたのでした。
つづく
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