第7話:数値への不信感 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で10年働くサラリーマン。
飲食店開業のプロジェクトを成功させるためにある焼肉店に研修に出向き、
出向先のお店の店長である加地と対立しながらも
業務を理解していくうちに本田承太郎は
帳簿を付ける売上管理業務を行うことになった。



本田承太郎はこの焼肉店を現段階でこのように評価していた。

・営業自体は忙しく店長もベテランで活気のあるお店である
・売上は平均的に上がっており、利益が出ているお店である
・アルバイトは黙々と働く機械的な感じで可も不可もない。
・人件費も削減されていて本部の数値管理はしっかりしている。
・食品管理のずさんさが少し目立ち衛生面も気になる。
・サービスは中の下で良いとは言えない。
・客層はサラリーマン・家族連れが多く単価は3000円~4000円
・近隣に競合するのは個人経営のお店だけで焼肉チェーンは無し


売上管理というと
一日の売上に客数・組数や一人あたりの単価などを計算し
自店の状況把握や対策、目標設定などを行うために
金銭管理を行うことで、


お金を管理するには責任を伴うので
店長などが主に管理しますが今回は本田承太郎が
この業務を把握するために受け持つことになりました。


基本的には日々の売上を帳簿に付けて
現金と売上が合っていっるか、
利益が出ているか等を見ていきます。


普通のお店は1ヶ月単位で計算して前の月や
前年同月と比べて現在はどうかを把握するのですが
このお店にはもともとチェーン店専用の
プログラム管理された帳票があり入力だけで計算される様に
仕組みづくりが出来ていました。


フランチェイズ化されているのでシステムは整備され、
人的ミスで計算が合わないこともあるようですが
一般の個人経営者が権利を購入しても
参入できる体制は作られているようです。


しかし、本田が気になったのは原価率と在庫管理。

原価率というと食材や商品をお金に換算して
今の売上に対し何円分使用したかを%で表したものである。


つまり、売上10万円で食材費が3万円だった場合、
原価率は30%という事になります。

この数値がこのお店では25%という計算になりました。
本田承太郎が気にしたのは在庫を整理せず乱雑に
管理されている状況でまともに棚卸作業が出来ているのかという事と

前月までの数値が月末時点で37%という数値になっていることです。


これが何を表すのかというと、もし月間売上が500万だった場合、
37%というと費用が185万円になります。
これが現時点で25%という事は同じ売上なら費用は125万円になります。


同じ売上で185万と125万・・

差し引いて60万も費用が一ヶ月で差が出るものなのか?

実際にはこのお店は毎月1000万近く売上があるので
単純に120万ほどの費用の波があることになる。


さすがに飲食店未経験の本田承太郎にも
これは何らかの問題がある事が脳裏に浮かんできました。


把握するべきなのはまず、
正確な在庫を金額に換算して抽出する事、
そして正確売上を在庫を計算してからの期間で計算することでした。


これを1月も続ければ正確な使用金額が割り出せます。
こういう業務はこの加地店長のような飲食経験者よりも
本田の得意とする領域でした。


それだけに、わずかな情報から問題点を見つけ出すことに成功したのです。


「加地店長この数値はいったいどういうことですか?」

本田承太郎に詰め寄られた加地店長は明らかに動揺を
隠せない様子で、その態度に本田はある不信感を募らせるのでした。



つづく