東京の端っこ在住。
21才のフリーター兼通信制大学生長女を筆頭に、高3、中3(2024年現在)3人の娘を育てるアラフィフ女子。
特筆すべき点もないありふれた日常を、独断と偏見でぶった斬る???娘たち曰く「見た目はオバさん、心はオジさん。世の中の常識が通用しない、サバイバル系不死身の過激派」らしいです。
お暇なときにちらりと覗きに来ていただければ幸いです。
こんにちは。
清々しいほどに、いつも大好きなテギョン君を追っている侍ままんです。
先日のこと。
長女と次女が突然『明日京都に行って仏像彫ってくる』と言い出した。
はい
話を聞けば、近頃趣味で地蔵を作っている長女が(すでにツッコミたいとは思うけど、ちょっと待ってて)京都のとある専門学校のオープンキャンパスで、仏像の彫刻体験が出来るという情報を入手して、次女を誘ってそれに参加してくると言う。
旅程は金曜深夜の夜行バスで東京を出発。土曜早朝京都着、その日に彫刻体験、同日深夜に京都を出て、日曜朝に東京着。
計画が全く持って典型的な若者のそれである
わざわざ京都まで行って、何の観光もせずに彫刻を彫ってとんぼ返りとは、ホノルル空港から出られずに帰国するウルトラクイズのようだよ(分っかるかな〜
)
そもそも何で若者が仏像と思いますよね
これね、私が葬儀業界で働く前からのことなので、別に私の影響というわけでもないと思うのですが、、、長女は基本的に世界平和を願って止まないLove& Peaceなピーポーなんですよ。
近頃では、もはやビジュアルがジョン・レノン化してきている雰囲気すらあるもの(金髪ロン毛にメガネだし
)


正直私の子にしては、小さい頃から絵を描いたり何かを作ったりということに特に興味を示すでもなく、どちらかというと不器用な子だと思っていました。
でも何となく絵を描かせると、蛭子さんのような下手ウマで柔らかい雰囲気の良い絵を描くな〜と思っていたのです。
それが大学受験を意識し始めた頃からだったでしょうか。粘土造形がしてみたいと言い出したので、世界堂に連れて行って、美大の予備校生が造形の基礎で使う水粘土というのを買い与えてみました。
それで初めは『赤ちゃん』みたいな可愛い生き物を作っていたのですが、いつしか気付いた時には、我が家のキッチンカウンターの上におびただしい数の地蔵が並んでいたのです。
私の予想では、両親のサイコパス教育法から逃れるため、彼女には地蔵の微笑みが必要だったのかも知れません。
なぜならば長女にしてみれば、当時の我々は、彼女の目の前に立ちはだかる金剛力士像にも似た存在だったはずですから。


つまり、菩薩が不在だった我が家においては、誰かが菩薩を作り出す必要があったというわけです。(普通は母親が菩薩役なのでしょうが、我が家は母が父以上に金剛力士像なのよ。めんご)
そういうわけで、いつしか地蔵作りに目覚めた長女は、一昨年に旦那のお父さんが亡くなった時にも、一体の地蔵をこさえてお祖母ちゃんに寄贈しておりました。
余談ですが、そんな長女の現在の趣味は地蔵作りと『アザラシ幼稚園』の配信を見ること、生牡蠣を食べることと牡蠣グッズを集めることです。とても22才になろうとしているZ世代の若者とは思えない、すでに【余生】と呼ぶに相応しい生き方に思えてなりません。
それで京都に行って仏像、彫ってきたみたいですよ。
一応美術をかじったことがある人間から言わせていただくと、彫刻って美術表現の中でも群を抜いて難しいものだという認識でおります。
やっぱり3Dですから。全方位からモノを捉える力が必要になってきます。私は2Dまでが限界で、立体作品については全く出来る気がしませんでした。
変態の集まりと揶揄される藝大でさえ、彫刻をやっている人の変態度合いは桁違いだと聞いたことがあります。(人によるとは思いますが)とにかく、それだけ難しい分野だという認識なのです。
そんなわけで、彫刻の世界とは、ちょろっと素人が手を出してどうにかなるものだとは思えませんので、そもそも仏像彫刻を教えている専門学校というものがあることに驚きました。
それで話を聞いてみたところ、たくさん専攻がある中で、彫刻体験に来たのが6人くらい。さらにその中で、仏像彫刻を選んだのは長女ひとりだけだったそうで、先生とマンツーマンで2時間楽しく仏像を彫ってきたそうです。
めちゃお得
それで先生に言われたのは『職人が不足しているのは確かで、若い人がこの世界に興味を持ってくれるのは大変嬉しいことなんですけどね、、、』言葉を濁しながら続ける。『たまにね、頭の中お花畑ちゃんみたいな人がいて、奨学金という名の借金をしてうちの学校に入ってこようとするんだけどね、、、
』深く息を吸う。『あの、正直、うちを卒業して仕事があるかっつったら、なくはないんだけど、あるかと言われたらあるとは言い難くて、、、
』生唾を飲む。『とにかく何が言いたいのかというと、人生を賭けて来られても困るので借金して来るのだけはやめて
』そう言われたそうです。
それで更には『1回普通に就職してもらって、いくらか貯金を貯めてもらって、人生の終わりが近づいて、それでもやりたかったら、その時また来てもらっても全然大丈夫だからね。』
いや、人生の終わりが来てからじゃ、完全に遅くね(笑)
とにかく、
ものすごい遠回しに拒絶されているのは間違いありません
先生が言いたかったことを代弁させていただくと、もう、こういう世界は【100】か【0】なわけよ。やるんだったら、卓越した重要無形文化財みたいなところまで上り詰めないと、生きてさえ行けないのです。
そういう覚悟もなく、ちょっとした興味で飛び込んでもらってはヤケドするぜよ、お嬢チャンと、こういうことです。
長女に言わせると、体験がマンツーマンでとても楽しかったので『何も入学せんでも毎回あれに参加してれば、授業料払わずに、そこそこ彫れるようになりそうな気がするわ。』意外と冷静でした
なるほど(笑)
京都への往復運賃だけでもバカになりませんが、果たして2度目があるのかないのか。
私に言えることがあるとするならば
命短し恋せよ乙女
青年よやりたいことは
何でもやっとけ
以上です