東京の端っこ在住。
20才のフリーター長女を筆頭に、高2、中2(2023年現在)3人の娘を育てるアラフォー女子。
娘たち曰く「見た目はオバさん、心はオジさん。世の中の常識が通用しない、サバイバル系不死身の過激派」らしいです。
特筆すべき点もないありふれた日常を、独断と偏見でぶった斬る???
お暇なときにちらりと覗き見下さいませ。
こんにちは侍ままんです。
現在、私は葬儀専門の花屋で働いております。
オフィスワークとは異なり、今、私の周りで働いている人は職人と呼ばれる職種の人が多く、最終学歴と言えば高卒の人がほとんどで中卒という人も少なくありません。
つまり私の人生においていえば、相当に斬新な環境にいる、ということができるのです。
大学を卒業して以来、今でも一番仲が良く、心が通い合っていると思えるのは、やはり大学時代の友人です。旦那様も同じ大学で知り合っていることを考えれば、私の今の生活の根底に流れているのは、やはり大卒的な考え方なんだと思います。
しかしながら私個人のことをいうならば、大学を卒業したのち社会に出ることなく結婚・子育てに突入してしまったので、いわゆる「社会人経験」がありません。ですから、物事の捉え方が学生のまま成長していないのではないか、という負い目を自分の中にずっと持っていました。
そういう経緯があるので、今の仕事についてからも、特に『中卒』について差別意識を持ったことはなく、どちらかといえば、自分なんかよりもずっと若い頃から社会に出て働いている偉い人、という風に見ていました。
ところがだんだんと気付いてきたのです。
中卒的な考え方と大卒的な考え方の違いに。
これはどっちが良いとか、悪いということではなくて、例えるならば貧困の国と豊かな国の違いに似ている気がします。
職人の世界では、傍から見ればとても価値のある素晴らしい技術を、二束三文の値で買い叩かれているという現実があります。
そして現場の人たちは、その理不尽に気付いていないか、または薄々分かっていても改善する術を知らないので泣き寝入りせざるを得ない、という非常に歯痒い状況にいるのです。
みなさんご存知のように、お葬式というのは結婚式と同じように、信じられないほどの多額の費用が発生します。しかし、その費用のほとんどはどこに消えているのか、全くもって不透明なのです。少なくとも花屋に支払われる花代というのは、材料費に毛が生えたくらいの額に過ぎません。例え、花が主役の葬儀だったとしても、そうなのです。
生かさず殺さず
まさに、山上憶良の時代の農民のよう。
だけれども葬儀屋の下請けである花屋には文句を言う術がありません。
私が現在、大抵の仕事を共にこなしているバディの男性は、うちの旦那様と同じ歳。高校生と小学生2人の子どもがいるお父さんです。
彼曰く。
自分は小学生の頃から、親戚の叔父さんに誘われてパチンコに通っていたとか、中学生のときには馴染みの飲み屋で、友人と一緒にチューハイを飲んでいたとか、とにかく自由に生きてきた人物。
中学卒業後には、料理人になろうと専門学校に通うも、友人と喫茶店で朝ご飯を食べてから学校に行っていたのが、いつの間にか行き先がゲームセンターに変わってしまい、すぐに専門学校は辞めてしまったといいます。
その後は弱小暴走族に入ってみたり、反社の友人とつるんでみたり、人殺し以外の(そう信じてるぞ)一通りのヤンチャは経験済みであろうと思われる、中々の猛者であります。
さらに現在に至るまでに、様々な職業を渡り歩いたようで、いわゆるドカタ系?ガテン系?っていうんですか?土木から電気設備から水道の配管まで、メチャクチャ色んなことを経験しておりその知識はかなり膨大。持っている免許も数知れず。
仕事の移動中に道端で工事を見かけるたび「道路工事は国土交通省の管轄だけど、信号工事は警視庁で、、、」ということをやたら熱心に教えてくれます。
そんなに知識欲があるなら、もっとちゃんとした学校に行っておけば良かったじゃん、と思うのですが、いかんせん、彼らは付き合う人をめっちゃ選ぶんですよ。
話を聞く限りでは、心から慕っている社長の元では甲斐甲斐しく働くも、ちょっとでも癇に障るヤツが現れると、潔く辞めてしまう。耐えるとか、何とかうまく付き合っていこうとかいう選択肢はないみたいよね。
絶対に学校の先生をセンコーと呼んで、ぶん殴ってたタイプよ。
それでなのか、1つ1つの仕事のスパンが短いのでいつまでも「平社員」から抜け出せない、というのが悩みのようです。
だけれどもそれだけ社会人経験が豊富なわけですから、コミュ力も高いし仕事の段取りを組んだりするのも実にウマいのです。
それでいつも私に向かって「今日はあっちとこっちで仕事が2件あるんだから、もっと朝から準備してこうやってこうやって回れば、ムダな時間が省けて、もっと早く帰れると思うんだよな~。」と呟いてきます。
それは実に合理的な意見ですので「じゃあMさん(うちの現場リーダー)にそう言えば良かったじゃないですか。」と伝えると「あなた!!上司にそんなこと言えるっっっ???
」と返ってくる。私「え?私は全然言いますけど。
」
だってうちの現場リーダー、別に全然穏やかな良い人です。例えて言うならば、ちびまる子ちゃんちのおじいちゃんみたいな感じの人よ。何を言っても「そうだねえ。」って言ってくれそうだから。
それなのにマイバディときたら、上司には絶対に自分の意見を言わねえの。
「え?なに?なんか暴走族の世界では上の人にものを言ったら東京湾に沈められるとか、そういうことがあったわけ???」そんな疑念が湧いてくるぐらい、頑なに上司に進言することを拒むのです。
だから次の日、私がリーダーに言ってやるんです。
「昨日の現場はこうこうこうやって回ったらもっと早く終わっていたと思います。」
それを聞いたリーダーは
「じゃ、次からはそれでいいよ。」
そんなもんですから。
そしてリーダーも、高校生の頃から実家の車を乗り回していたという元ヤンで(今のビジュアルは友蔵なのに 笑)、彼も彼で、さらにその上の弊社の代表には何も言えないのです。
どのくらい言えないのかというと、これまで我々の作業場には扇風機がありませんでした。作業場はトタンで囲われたような半外空間なので、基本的に空調は効きません。
だから夏の作業場はめちゃくちゃに暑かった。それはそれは死ぬほどに暑かった。
私が入社したのが去年の9月で、まあその時も暑かったですけれど、まだ良く分からなかったので耐えていたんだと思います。(笑)
それでこの前めちゃくちゃ暑かった日に「せめて扇風機があったらなあ」って、みんなで汗をダラダラかきながら言っていたんです。そのとき「そもそもなんでないんですか扇風機?
」って聞いてみたら、リーダーとバディが口を揃えて「代表に扇風機買って下さいって言える???
」とか言うんです。
翌週、代表がいる現場に手伝いに行く機会があったので、直接「代表、扇風機買って下さい。」って言いましたよ。そしたら「え~~~!!!今までなかったの???早く言ってよ
」その翌日には扇風機がやってきました。
おかげで超快適になりました。
そりゃあそうだよ。
なんなん???
これって、元ヤンだからなの???
なんでみんな自分の意見を言わないの???
文句とかじゃないじゃん。
要望じゃん。
要望を言ったら殺されんの???
やっぱりさ、田中正造を生んだ栃木県から来た人間としてはさ〜、意見を述べることの重要性をひしひしと感じるわけよ。
とにかく今の職場の人たちは、目上と思われる人には一切異議申し立てをしません。暑いので扇風機を買って下さい、すらも言いません。
上に立つ人だってそんなに機転が利く人物ではないので、下の人が何も言わないということは、状況的には裸の王様と同じで、たった一人の意見だけで会社が回っている状態だったのです。
これじゃあ発展は見込めないよね。
みんなそれぞれ仕事のやり方について、意見があって改善の余地があるのに、進言する人が誰もいない。長年、みんなが念仏のようにブツブツと不満を言い続けるだけで、その意見はどこにも反映されることなく、今までに何の改善も行われて来なかったように思います。
そこに私がいま、毎日のように風穴をブチ開けているところです。
代表にしても、親会社には何も言ってくれません。明らかに発注の仕方に問題があるときでも「(文句の)言い方がわからないよ〜ドラえも〜ん」みたいなことを言います。
そんなときは、私が感情を無にしてズバッとメールを送り付けてやるんです。「こんな発注書では仕事になりません。改善よろ。」そしたら、すぐに改善されてきますから。言えば良いだけなんですよ。
仕事上の不都合は、言わなきゃダメ絶対。ビビっちゃダメ絶対。
別に文句言ったところで東京湾に沈めらることはない。
(、、、よね?)
これは想像に過ぎませんが、若くして社会に出た人たちは、目上の人にものを言っても良いんだという認識がないんだと思うの。
だって高等教育においては、先生と意見を闘わせる場面というのは、結構頻繁にありましたから。
一方、中学やそこらで教育が終わってしまうと、大人の言うことが絶対!という刷り込みが書き換えられる機会がなく、自分が大人になってからも、下剋上を起こす気が涌かない、ある意味【従順な人間】になってしまう気がしています。
私など「ヤンキーならもっと闘えよっっっ」って思っちゃうくらいに、みんな柴犬レベルの従順さなんだよねえ。
もっと噛み付いていこうぜ。
私だって、喧嘩しろって言ってるわけじゃあない。ただ、必要な意見は言えよっっっっってことです。
そういう環境で、とりあえず上も下
も関係なく、言うべき意見をストレートに言い続けてそろそろ1年。
最近、現場リーダーは私のことを【先生】と呼ぶようになりました。
「だってままんさんて、学校の先生みたいなんだもん。」
いやいや、上司から先生って呼ばれてる人って何者よ???意味分かんねえじゃん。
それにつられてバディまで私を先生って呼ぶようになりました。
まあね。
たぶん私は、ヤツらが学生時代に最も苦手だったタイプの女であることは、間違いないでしょうな。
あきらめろ。
私はこう見えて、昔から猛獣を操るのがすこぶるうまいのだよ。
これからも猛者どものケツを引っ叩いて、少しでもアンフェアな職業環境を改善できたら良いな、と思っています。
職人よ大志を抱け