インド・バンガロール~女ふたり旅回想録 | inquitのブログ

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 ある日、バンガロール市内で、リクシャーに乗っていたら、その運転手が前のリクシャーに追突してしまいました。追突された運転手は降りてきて車の傷を確かめました。確かめるったって、もともとが廃車間近か?と思えるほどボロボロのオート三輪車です。ちっとやそっとの傷なんてどーっちゅうことありません。

 

 道端には通常、地面にしゃがみこんで通りを眺めている人たちが何人かいます。要は「ヒマ」している人々がいるわけです。

その人々が”事件か?”とばかりに群がってきます。

それにつられて、通行人が、「なになに?」と、集まってくるわけです。好奇心旺盛な、暇のあるインドの方々が多いものですから、ちょこっとの間にすごい人だかりになってしまいました。

 

 運転手ご両人は、ぶつかってできた傷なんて鼻っから気にも留めておりません。何せ元々ボロボロの車なんですから。

 私が思いますに、今ついた傷がどれか?なんてぜぇ~~ったい判別不能です。

 なのに議論好きなインド人達は、ただその場に居合わせただけなのに、「お前がスピードを出しすぎた」「いや、お前が急に止まった」「お前がよそ見をしていた」「もっと脇を走るべき」などと、他人事にもかかわらず、ワイワイ盛り上がってしまうんです。

 

 勝手な意見がいろいろ出た後、ある知識人っぽい男性が進み出てきて言いました。

「ぶつけられた側は体はなんともないか?」・・・何ともあるわけありませんヨ。ほんのコツンとぶつかっただけですから。

「ぶつけたお前は?」・・・こちらはもっと何ともありません。一緒に乗っていた私たちがふつ~~うなんですから。

 

その男性はしたり顔して言いました。

 

「車のここが傷ついたから50ルピー(150円)をこの人に支払うべきだ」

 

私は思いました。『へっ?通りがかりのお前様がそんなことを言っていいの?』『それに傷だらけ過ぎて、何時の傷か判別不能ですよね~』

 

 周りを取り囲んでいた野次馬たちも、妙に納得して「そうだ!」「それでいい!」と賛同しているんです。

 ぶつけた運転手は、「そうなの~」と、言われるままに、くしゃくしゃの50ルピーをポケットから取り出しました。

 相手も「あ、そ」と言う感じで50ルピーをサラッと受け取っていました。

 

 後、何事もなかったかのように人々は散って行き、

何事もなかったかのように、リクシャーも動き出しました。

 

 一介の通行人が判決を下す? 日本では考えられないことです。