「君の名は。 Another Side:Earthbound 」
加納新太 著  新海誠 原作  角川スニーカー文庫

話題になった映画「君の名は。」の特別編です。
映画を観て、登場人物をもっと深く掘り下げた話が読みたかったので、どんぴしゃでした。

特に上映時間の都合もあったのでしょうが、三葉と父親との確執の解決過程が、映画の中でごっそり抜け落ちていたので、物足りなさや違和感を感じていました。どうやって三葉は父親を説得したのか全くわからなかったからです。

その解決過程が父親サイドから書かれていて、そういうことだったのか、と納得しました。この特別編を読まないと、私の中で三葉の父親はただの横暴な父親だと誤解したままでした。父親には父親の想い、考えがあったのですね。

この本は、4編の短編からなっていて、どの話も面白かったのですが、特に「あなたが結んだもの」の話が印象的でした。
三葉や四葉の母親と父親の馴れ初め、三葉や四葉が生まれ幸せな日常、そして三葉や四葉の母親である二葉の死。
父親があれほど頑なになる理由が理解できて、なんともやるせない感じがします。妻である二葉を想うからこそ、二葉を糸守の鎖から解き放って自由にさせてやりたいと思う優しさ。ですが糸が絡み合うように、その優しさも絡まりあってしまって、結果、父親の心が頑なになってしまった。う〜ん、切ない。

また「あなたが結んだもの」の中で、宮水神社の御祭神や由緒などが詳しくあって面白かったです。設定が細かく、実在していそうにリアルでした。天孫系とか、出雲系とか。

「この世のすべてはあるべきところにおさまるんよ」

この二葉の言葉も、印象的でした。
運命は初めから決まっているのだから、何をやっても同じだ、ということではなく、
それぞれが考え行動して、その結果あるべきところにおさまる、ですね。

映画を観て、この特別編を読むと、より「君の名は。」の世界が理解できると思います。