遺跡発掘師 西原無量シリーズの第4巻です。
第4巻・第5巻でひとつのお話になっており、5巻は未読のため、まだ結末はわかりません。
ですので、4巻までの感想になります。

桑原水菜先生の日本の歴史ファンタジーは、どれを読んでも面白いですが、この西原無量シリーズ4巻も期待に違わず面白いです。
ファンタジー小説なのにやけにリアリティがあるのは、史実に忠実であることと桑原先生の技量なのでしょうね。
小説も楽しいし、歴史の勉強にもなって、一石二鳥の小説です。

4巻の舞台は、東北地方。主に岩手県陸前高田市です。
東日本大震災で被災地となった地域の、復興開発に伴う緊急の遺跡発掘調査(復興発掘)に参加していた西原無量が「3本指の右手」を掘り出したことで、眠っていた何かが動き出し、事件に巻き込まれていきます。
いろいろな人が、いろいろな所で、それぞれの事情で動いていて、この風呂敷をどう畳んでいくのか、5巻が楽しみです。

そして、この小説を読んで、「復興発掘」という言葉を初めて知りました。
被災地復興のための道路建設や住宅建設など開発する土地にある遺跡発掘のことを「復興発掘」といいます。
被災者の生活再建も大事だけれど、文化財保護・研究もおざなりには出来ない。
かといって、「復興発掘」に時間をかけていると「復興」自体が遅れてしまう。
限られた時間の中で、できるだけのことをするプレッシャーや使命に感銘しました。

印象に残ったのは、「地域の記憶」「ふるさとの記憶のよすが」という言葉でした。
想像することしかできませんが、全てを津波で失ってしまった人々にとって「ふるさとの記憶のよすが」は精神的に人々を支えているのだ、と改めて感じました。

4巻の最後で新たな情報が投下されており、5巻がどう展開していくのか楽しみです。