初読みの作家。
大正時代の浅草界隈で繰り広げられる少女ギャングのお話です。
タイトルの「くれなゐの紐」は、少女ギャング「紅紐団」の証でありますが、私には赤い紐は様々なものを結びつける運命の糸のようなものにも感じました。
「運命」という言葉を使うと主人公である仙太郎と操から嫌がられそうですね。
この小説、最初は血気盛んな少女たちの武勇伝かと思って読んでいましたが、少女たちにもいろいろ葛藤があり、またこの時代、親の庇護なしに生きていくには様々な悪事に手を染めなければならない状況で少女たちの苦労が垣間見られました。
といっても、スリ、窃盗、売春は犯罪ですから。それはそれ、これはこれ。
ストーリーが二転三転し、またいろいろな人の計画が交錯し、最後まで結末が予想できませんでした。
中盤から終盤までは、一気読みしてしまうほど、面白かったです。
巻末で主人公である仙太郎が絵葉書に書いた文章が意味深でした。この文章で小説は締めくくられています。
「長い夏休み最後の記念に ”浅草の凌雲閣のいただきに腕組みし日の長き日記かな”
大正十二年、八月三十一日。 鈴木仙太郎」
小説のシンボルでもある凌雲閣、別名 浅草十二階。実際に浅草にあった建物です。そしてこの浅草十二階、仙太郎が絵葉書を書いた翌九月一日、実際に8階から最上階までが倒壊します。関東大震災によって。
闇と隣り合わせの強くたくましい少女たちの一番輝いている時代を書いているのではと思うと、さらに彼らの輝きが増したように感じました。
