初読み作家です。
どこかの記事に、この本が紹介されていて気になって読みました。

4編の短編が収録された短編集ですが、連作短編集ではありません。ありそうでなさそうな日常を描いた夫婦のお話です。実際あったら困るだろうなww。

短編は、「終の筈の住処」「ニセモノの妻」「坂」「断層」のうち、個人的には「坂」が面白かったです。

人間それぞれ大事なものがあり、大事なものを守るためにお互いが争いをする様はいつの世にもあることで。そんな様を三崎亜記さんがこう書いているのが印象的でした。

「人は誰しも、経て来た人生の歩みの結果、『傾いて』いるのだ。(中略)必要なのは、傾きを正すことでも、同じ傾きになることでもない。互いの傾きを認め合い、互いが歩きやすくなるように手を差し伸べ合うことだろう。私にとっての下り坂が、妻にとって上り坂であることだってあるのだから。」

補足するなら、小説の中で、同じ坂でも、坂上に住んでいる住人はその坂を「下り坂」と呼び、坂下に住んでいる住人はその坂を「上り坂」と呼び、押し問答をする場面があります。同じ坂なのに、住んでいる場所を中心として考えると、「上り坂」「下り坂」になってしまうのですよね。

この短編「坂」を読むと、正義にも同じことが言えると感じます。 正義の定義は人によって違う。そもそも正しい義なんてあるのかしら。なのに人は己の正義を他人に押しつけようとする。その度に私は心の中でツッコミを入れる。それはお前の義ではあるけど、正義ではないだろう、と。

まぁ、自分自身にも言えることですね。反省。